「映像と歌唱だけでも劇場で観る価値あり」アナと雪の女王 長井 祥和さんの映画レビュー(感想・評価)
映像と歌唱だけでも劇場で観る価値あり
2日連続で劇場で映画鑑賞するのは久しぶりである。今日は本作
を家族とともに鑑賞した。
昨日がディズニーの映画製作の裏側を描いた実写なら、今日は、
ディズニー映画の王道である、アニメーションによるファンタジ
ーである。
映画館での予告編を何度かみていて、圧倒的な氷と雪の映像、そ
して素晴らしい歌唱を見聞きしていただけに、期待できそうだ、
という思いを持ってスクリーンに臨んだ。
果たして、映像と歌唱については、実にすばらしいものがあった
。この2つを劇場で体験するだけで映画代の価値はあると思える
。氷や雪の質感がCGだけであれほどまでにリアルに表現できる時
代に生きていることを素直に喜びたい。IT技術の端くれで生計を
立てているものとして、これ以上のCG技術の進化はありえるのだ
ろうか、と思わせるほどであった。
歌唱についても、耳に残るだけでなく、過去のディズニー主題歌
と比べてもオペラチックな盛り上がりは一頭群を抜くものがある
。パンフレットに載っていたが、ミュージカル仕立ての本作にふ
さわしく、声優の多くがミュージカル経験者のようである。今回
観たのは日本語吹き替え版だったが、松たか子さん、神田沙也加
さんともにミュージカルでも活躍されていることもあり、日本語
の歌の素晴らしかった。鑑賞前は、本家に比べて歌のパートが劣
るのでは、と若干の不安があったがそんな失礼な心配は杞憂であ
り、伸び伸びとした歌いっぷりは見事なほどであった。
ただ、ストーリー面では、一連のディズニー大作に比べると、新
鮮味が落ちることは否めない。アンデルセンの「雪の女王」を原
案としているため、街と城、そして遠く離れた地に建てられた城
とを登場人物たちが往復する、といった構成に既視感を覚えてし
まうのである。ただし、それも含めて、大胆な脚色や翻案があち
らこちらでくわえられており、鑑賞後の感想としては新たな物語
の創出がなされた、と思える。特に結末については、見事な肩透
かしを食わされた。と同時に膝を打って納得したい想いである。
時代は今、家族や肉親のきずなを見直す方向に舵切っているのか
もしれない。
なお、映画冒頭では「ミッキーのミニー救出大作戦」という短編
アニメが上映される。ディズニーの原点であるスチームボートウ
ィリーの世界観を活かしつつ、現代風に大幅にアレンジした本作
、必見である。丁度昨日、ディズニーの基礎について学んだばか
りであり、非常に嬉しい。本作だけでもDVDを購入したいぐらい
である。
'14/3/22 イオンシネマ 新百合ヶ丘