「まずは家族愛。」アナと雪の女王 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
まずは家族愛。
予告で何回も聴かされた名曲だが、確かに素晴らしい歌声。
物語を知らずに聴いていた頃は、何だか捻くれ女王に思えた
エルサの真の想い、それが爆発したのがあの歌だったのね。
解放感と共に次々と力を使いまくるエルサの幸せな笑顔に、
他人を傷つけるなら独りでも構わない!という決意が伺える。
彼女がなぜあんな力を元来持っていたのか謎のままだが、
小さい頃はその力を使って妹のアナと雪氷遊びをしていた
エルサ。ところがある日誤ってアナを危険に晒したことから
部屋に閉じこもり、父母が亡くなるまで姿を見せなかった。
ふと思ったのだが、あれだけ素直で聡明な妹アナに対して、
国王夫妻はなぜ姉の秘密を打ち明けてやらなかったのだろう。
その力の脅威や不安を家族で分かち合ってやるべきだろうに。
とにかく自分を押えこむ姉体質と、どこまでも奔放な妹体質。
Wヒロインということで、巧く対峙させているな~と思った。
自身の力に抗えなくなった姉は女王の座を捨て雪城に籠るが、
何とかして姉を取り戻したい妹は雪山中へと追いかけていく。
道中で雪だるまのオラフと出逢うが、なんと彼こそエルサが
子供の頃アナの為に作ってくれたものだった。キャラがいいv
後半、暖炉の前でオラフがアナに告げる言葉と行いがテーマ。
「真実の愛」が意味するものとは?
大人なら「あぁそうだよね」と膝を打つ答えが、おそらく子供
にはまだ理解できない。この辺りの説明不足が却って今後の
成長段階毎に鑑賞眼を養うきっかけ作り?に貢献するのかも。
王子様とのキス、なんていうディズニーらしい演出も捻って
描かれている。全体的に見て女性主導で男性従徒の扱い(爆)
だって王子の実態と氷屋のあの刹那。ひと昔前のディズニー
にはあり得ない展開。もう男陣の手助けなど要らないって!?
確かに今は結婚がゴールじゃないし(爆)恋愛が全てでもない。
夢見る少女じゃいられな~い♪のは分かるんだけど、
エルサの耐性を優しく包み込む存在も実際は欲しいところだし、
アナの初恋を現実的に受け入れる氷屋の面目躍如だって大事。
縁の下の力持ち、確かにそれもカッコイイけど
姉妹愛は、ただ二人だけでは復活できなかったことだからね。
使われた楽曲すべてが素晴らしく、観応え聴き応えある秀作。
アニメとは思えない臨場感とパフォーマンスの豊かな味わい。
もうこんなところまできてるんだ~と、今後の躍進に更に期待。
(自分が兄姉か弟妹かで立場の違いが理解できて楽しめるかも)