「人間の中にある悪意」偽りなき者 白波さんの映画レビュー(感想・評価)
人間の中にある悪意
デンマークの小さな村が舞台の、静かでとても恐ろしい物語。
小さな女の子の悪戯めいた嘘から始まった、終わりのない闇のような生活。
それは所謂「村八分」で、小さなコミューンの怖さがズシリと重く描かれています。
きっかけとなるクララがやばい、目がもう。それと嘘をつくときの癖、鼻の啜り方など
しかしこれはあくまできっかけ、本当に怖いのは大人達でしょう。
ミスリードのように引き出した言葉から、実質的に犯人に仕立てた園長の友人。それを鵜呑みにし拡散する園長。
そこから保育士、保護者、村人と感染するように広がる悪意。
間接証拠というよりもはや妄想の域で、完全に魔女狩りでした。
そうした中でも子ども達は無垢なものと位置し、それを示すようルーカスも子どもに矛先を向けることはしないのですね。
そして何より、ルーカスを演じきったマッツでしょう。
引き込まれるとはまさにこの事で、本当素晴らしい芝居が見れました。
物語はどんな展開になっても嫌な予感は続いたまま、そしてそのまま終わるんです。ラストなんて息が詰まるようでした。
このピンと張った緊張感がずっと持続しているので、観賞後は少し疲労を感じるほどでした。
人間の中にある悪意、本当に怖いと感じました。
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