「なんであんなラストに・・・」四十九日のレシピ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
なんであんなラストに・・・
妻に先立たれ独りになった父と、夫との離婚を決めた娘が、遺された“暮らしのレシピカード”を基に互いの生活基盤を立て直す物語。
愛想はないが娘や亡くなった妻への想いが強い父に石橋蓮司、母との関係を見つめなおす娘に永作博美が扮する。穏やかで生活感のある自然体で向き合う姿は本当の父娘のようだ。
二人の間に割って入る不思議ちゃん・イモが時間は、止まってしまっている熱田家に風を吹き込み、父と娘、そして妻であり母だった女性、その三人の心を手繰り寄せる接着剤的な役割り。人見知りをせず一見図々しい言動を見せるが、ほかの誰よりも現実を真っ直ぐ捉えるイモを二階堂ふみが好演。何本か観たことがあるが、器用な女優でクセもある。石橋蓮司と永作博美の間に入っても引けをとらない。
それに比べると日系ブラジル青年の岡田将生は笑顔だけ。無名でいいから本物の日系ブラジル人を使ったほうが良かったのではないか。
古い考えで世間体を気にする伯母を演じた淡路恵子。一方的に考えを押し付ける物言いにイラッとするほどの演技はさすが大ベテラン。
人が生きるということは、少なからず人に影響を与えること。何もなく亡くなっていく人はいない。そんなことを改めて感じさせる作品。
難をいえば、大団円にする必要はなかった。わからない人は最後までわからず屋にしておいてよかった。人の気持ちはそんなたやすくコロっと変わったりはしない。不自然だ。
石橋蓮司と永作博美の演技が見応えあるだけに、父と娘、二人の成り行きに集中するだけで充分だった。
ついでにいえば、娘がくだす決断も同意できない。
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