劇場公開日 2013年1月19日

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「あまりにも洗練されすぎている」アルマジロ SHさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0あまりにも洗練されすぎている

2015年8月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

デンマーク軍の強力な協力があったであろうと推測される作品。実際の戦場、カメラの設置箇所、兵士の会話、現実とは思えないほどの密着度を感じた。
編集なども巧みで、洗練された劇映画を見ているよう─。作っている─というか、再構築している部分は多いだろう。例えば、兵士の会話のシーンにおいては、カメラ位置やアングル、画角といったものは明らかな事前のすり合わせが見て取れる。真実といったものを伝えるための再構成であることは明白で、特段やらせなどとは思わない。しかしながら、あまりにも劇的すぎて、他の戦闘シーンなども再構成したドラマなのでは!?と疑いたくなる。例え作られたものであったとしても、描かれていることはすべて事実であり、ドキュメンタリーであることは疑いようもない。
ただ、視点があまりにもデンマーク軍オンリー過ぎはしないかと思わざるを得ない。その思いのせいで、軍の多大なる協力というものを想起してしまうのだが、あるいは軍の関係者が制作していて、これは半ばプロパガンダ的要素も含まれてるでは?との飛躍した想像をもしてしまう。
自分は今でも戦争は完全否定するし、決して戦争などには行きたくも参加したくもない。
しかし、自分などよりももっと未来がある若者がこれを見たらどう思うのか─。戦場への抵抗を減殺してしまうのではないかと危惧してしまう。

これは、あくまで戦争の一面を切り取っているだけで、戦争そのものを描いているものではない。

映画としての完成度は非常に高く、興味を削がれることなく、最後まで観賞できるはず。それ故に“ドキュメンタリー”という名の冠がたちの悪いものに見えてしまう。

映画館が主体となってWEB上で自らの権利作品を流すことには、感謝・賛嘆の念しかありません。アップリンクにはこれからも足繁く通い続けます。

SH