「一緒に不幸になるという、幸せ。心がざわつく映画。」さよなら渓谷 さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
一緒に不幸になるという、幸せ。心がざわつく映画。
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心の傷は、他人との境界線を生む。
まるでチョークで白い線が引かれてるみたいに、そこを境に「あっち側」と「こっち側」とで違う世界が存在する。
夏美(真木よう子)は自分を理解してくれるこっち側の人間を、ずっと探していた。探しあてたと思った男に殻の裂け目を見せれば、そこに唾を吐かれる。当然、境界線は太く濃くなる。
そして、やっと巡り会えたこっち側の人間は、自分に傷を負わせた男:尾崎(大西信満)だったという皮肉。
一緒に不幸になるという、幸せ。
許せない。憎い。セックスしたい。愛している。
こんな感情が一度に溢れたら、もう逃げるしかない。
激しく混乱する。心がざわつく。
けれど、尾崎が自分の罪と向き合い、償おうとする、その神がかった抱擁力に感動する。ような錯覚に陥る。
けど、こんな男と一緒にいちゃいけないよ。
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