「十字架から降ろされた前田敦子」DOCUMENTARY of AKB48 No flower without rain 少女たちは涙の後に何を見る? バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 十字架から降ろされた前田敦子

2025年7月25日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

驚く

初めて映画館で観たAKBドキュメンタリー映画で、絶対センター前田敦子の卒業という一種の社会現象にまでなった出来事を軸に、彼女の卒業後の渡辺麻友・松井珠理奈・島崎遥香による次のセンター争いや、いくつかの恋愛スキャンダルの顛末、グループから卒業した元メンバーなどにスポットを当てている。

前作が戦争映画なら本作は宗教映画とも評された映画で、秋葉原の街が前田敦子一色に染まった卒業公演の終わった深夜に、町中に貼られていた前田の巨大ポスターが次々にゆっくりと剥がされていく印象的なシーンは、高橋栄樹監督がルーベンスの「十字架から降ろされたキリスト」に重ね合わせたという映像。いわば神の座に据えられたスターが、卒業によって人間に帰るという、きわめて現代的で象徴的なシーンと言える。ややオーバーに言えばアイドルとは何か?という、ある種の哲学的命題を含んだドキュメンタリー映画と言ってもいいだろう。2作目に続き、これまた傑作。

バラージ