「期待しすぎないのが肝要」探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点 九段等持さんの映画レビュー(感想・評価)
期待しすぎないのが肝要
大ヒットした前作。
主演の大泉洋、まるで彼の為にあったのではないかという原作と、探偵<俺>。
高田役の松田龍平含め最高のマッチングであることは今作も変わりはないと思う。
ただ、なぜか今作は手放しでよかったと言えないから不思議。
面白くないことはない。
楽しくなかった、或いは笑えなかったわけでもない。
ひとえに、前作の出来に期待しすぎただけなのか。
尾野の演技も良いし、配役にも納得。依頼の理由も明かされる。
それでも満足できない理由を考えると、
前作に比べお色気シーンやアクションシーンがやや間延びしていたのもそうだが、
それ以上に最大の要因はやはり真犯人の犯行の動機、そしてその残念な結末のせいだろう。
真犯人の犯行の動機に「だから犯行に及んだのか」と(罪は別として)理解できる部分があればよかったのだが、それが全くない。せめてその最期で納得させてほしかったが、結局なんだかなあという結末。
結果として事件の核心の淵で真犯人に踊らされ続けた探偵を“期待して見させられ続けた”こと、
つまり、先はまだか、真実はどこかと期待しながら見ていたそれぞれのシーンが、核心とは(極端に言えば)無関係だったことに対するガッカリ感がこの作品の評価を必要以上に低下させてしまっている気がする。
色々書いてしまったが、DVDまで買って楽しんだ、あの「探偵」のいるススキノの世界にまた出会えたことは素直に嬉しかった。
ススキノという街が持つ、夢と優しさと欲望と現実があわさったような不思議で恐ろしい魅力が画面からも染み出してきそうな、そんな作品だ。
個人的な欲を言えば、前作で大泉が列車のシーンで見せたような感情や思いがむき出しの場面が欲しかった。
ここで見放すには惜しいシリーズ。是非第3弾を見せてほしい。