クロスファイアー・ハリケーンのレビュー・感想・評価
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60年代のアンチから国民的ヒーローへ
デビューから、70年代までの最高に格好良くて脂がノリまくった最高潮なストーンズの姿がライブやインタビュー映像などで堪能できる。
特筆すべきは、ヘルズ・エンジェルスの面々が登場する"オルタモントの悲劇"での生々しい映像で、あの年代の荒々しさと共に迫力が凄まじい!!
悪運を味方に付けたかのように懲役を食らうことはなかったキースのヤンチャぶりが最高にクールで、いつまでも魅力は衰えない。
初期のヤバいストーンズを知るのには最適かと!?
凝縮しすぎた50年
ローリング・ストーンズも今年で結成50周年。記念に作られたこの公式ドキュメンタリーにはそれなりに期待がかかっていただろう。だが上映時間を見て欲しい。111分だ。ストーンズの50年にも及ぶ歴史をたった2時間足らずで描ききれるのか。答えはノー。
映画は60年代のデビュー時からスタートする。基本的にカバー曲だけを演奏していた時代から始めて曲を書くまで。このパートは意外と長かったりするのだが、ほいほい曲を書いていたビートルズとは違い、少しずつ成長していく感じが手に取るように分かる。といっても、ここまでわずか2年足らずなのだが。この手の大物バンドは初期の成長があまりにすごくて、普通の人間の数倍は濃い人生を送っている。だからこそ堕落するのも早い。
60年代後半から70年代は麻薬がらみのエピソードばかりだ。というより、それしかない。「キース=麻薬」という方程式が完成しているせいもあるが、それにしても多い。ストーンズに関係した人物の描写はほとんど無いのに、ハッパやらアシッドやらばかりが登場する。正直覚えているのはその手のエピソードばかりで、下手するとストーンズの間違ったイメージを観客に植え付けることになる。
映画は80年ぐらいにストーンズが頂点に達するまでを描いている。そもそも50年間を描けていないわけだ。昔からのファンはあまりに物足りないだろうし、新しいファンは本当のストーンズ像をつかめないだろう。演出方法は手堅く上手くまとめたという印象だが、「ザ・ローリング・ストーンズのドキュメンタリー」としては不十分だ。ジョージ・ハリスンのドキュメンタリーでさえ3時間半にも及ぶのに不十分なのだからなおさらだろう。
きっとファンは2000円という料金を払っても見に行くだろう。ファンの足下を見ているわけだが、その肝心のファンよりも初心者向けという印象だ。何度も言うがドキュメンタリーとして悪いわけじゃない。でもファンにとって必見かというと、疑問が残る。
(2012年11月17日鑑賞)
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