「格好の良いラスト、斬新なストーリー・デザインを有する、時空を超えた愛を描くSF映画の新たな傑作」オブリビオン Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
格好の良いラスト、斬新なストーリー・デザインを有する、時空を超えた愛を描くSF映画の新たな傑作
ジョセフ・コジンスキー監督による2013年製作のアメリカ映画
原題:Oblivion、配給:東宝東和。
時空を超えた愛を讃える様なラストが、映像の終わらせ方・音楽の入り方も含めて実に格好良く、感動させられた。コジンスキー監督によるオリジナル・ストーリーとのことだが、トム・クルーズ演ずる主人公自身がクローンの一人というのがとても斬新で、そこにヒロイン女性オルガ・キュリレンコとの愛を絡めた展開が、SF傑作映画の惑星ソラリスを想いうかべるとともに、心を揺さぶられた。
どこか東洋的にも見えるキュリレンコ(ウクライナ出身)が、主人公の断片的記憶として挿入される白黒の断片映像も含めとても魅力的で、この映画のヒロイン像にとても合致していた印象。エンパイア・ステートビルの屋上望遠鏡やそこで彼女に渡される婚約指輪の映像が、物語のアクセントとして良く効いている。
最初戸惑ったが、トムクルーズがトムクルーズと闘い、チームパートナー・アンドレア・ライズボローが複数存在することを見せる展開で、彼らがクローンで複数チームが存在することを観客に悟らせる脚本が上手い。彼女らはオリジナルの気持ちを反映してか、皆主人公を愛する様に出来ているのだろうか。偶然の一致と思うが、エヴァンゲリオンのQ及びシンのアヤナミ・レイを連想させられた。
トムクルーズが乗り込む飛行機の形状がユニークで、敵となるまん丸型ドローンの造形とその殺人能力の過激性が凄かった。そして、ドローンとの空中戦が未来のマーベラス戦闘シーンを予感させるなかなかの迫力であった。地球を見守る基地のデザインや内装も良かった。一方、地球の他場所と対照的な、緑に恵まれた湖の辺り(トムクルーズ・オリジナルが夢見た暮らし場所)の映像が何とも美しかった。
ということで、ジョゼフ・コジンスキー作のSF映画の新たな傑作を見た思いがした。
製作ピーター・チャーニン、ディラン・クラーク、ダンカン・ヘンダーソン、ジョセフ・コジンスキー、製作総指揮デイブ・モリソン、ジェシー・バーガー。
原作ジョセフ・コジンスキー、脚本ジョセフ・コジンスキー、ウィリアム・モナハン、カール・ガイダシェク、マイケル・アーント。撮影クラウディオ・ミランダ、美術ダーレン・ギルフォード、衣装マーリーン・スチュワート、編集リチャード・フランシス=ブルース、音楽アンソニー・ゴンザレス、 ジョセフ・トラパニーズ。
出演は。トム・クルーズ(ジャック・ハーパー)、オルガ・キュリレンコ(ジュリア)、
モーガン・フリーマン(ビーチ)、メリッサ・レオ(サリー)、アンドレア・ライズボロー(ヴィクトリア)、ニコライ・コスター=ワルドー(サイクス軍曹)。
Kazu Ann様
コメント並びにお褒めの言葉をありがとうございました。
Kazu Ann様のレビューも、『エヴァンゲリオン』や『惑星ソラリス』など、映画の世界が拡がりました。ありがとうございます。
コジンスキー監督。『トップガン マーベリック』でもやってくれましたね。
その才能に感嘆いたします。
これからも楽しみにしています。
今晩は。
今作のレビューは、このサイトを記録用に使っていた頃のモノなので、お恥ずかしき限りなのですが、今作は私の中では近年のSF映画の中でもトップ10に入る映画であります。
まずは最後に明らかになる設定の妙。そして、SFガジェットのセンスの良さに惹かれました。
似たテイストの作品で、テッド・チャンの「あなたの人生の物語」の短編を映画化した、「メッセージ」も好きですね。では。