「よかった」オール・ユー・ニード・イズ・キル 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
よかった
トムが何度も同じ現実を繰り返していくうちに、戦闘スキルや対人スキル、恋愛スキルが上がっていくところが面白かった。恋愛スキルはあがっていて相手のことをどんどん好きになっているのに、相手には「さっき会ったばかりなのに」みたいな対応されてしまうところは切なくてよかった。ゲームみたいな設定を活かしてすごく人間味が描かれていた。
基地で初めて会った時は嫌な感じの人ばかりで、トムも委縮しており、でも何度も繰り返すうちに彼らにもいろいろな面があり、対応次第では仲良くもなれる。そういうのを全く説教臭くなく押しつけがましくなく、自然な現実として分かりやすく説明してくれている。
ただ、アクションシーンのカメラワークや編集がすごくガチャガチャしていて状況が分かりにくいタイプで、残念だった。目が疲れて眠くなる。本当にそこだけがどうしても嫌い。
(追記)
上映終了前にもう一度見ておきたくて、見た。前回アクションシーンがガチャガチャしていると感じたのだが、改めて見たらそうでもなかった。言いがかりみたいで申し訳なかった。
改めてストーリーがすごく面白かった。この映画の面白さは試行錯誤の連続が、こっちが見ていて「こうすればいいのに」といった思いをきちんと踏まえてくれたり、それ以上のものを提示してくれているところであると思う。見ているこっちも、トムがこの場面が何回目なのか分からなくなるところに、また苦労が偲ばれていい。
トムがこれまで以上にチャーミングで、年々チャーミングになっているような気もする。若さの嫌ったらしさが抜けてきたからかもしれない。
敵の本体を叩けば全滅みたいなのは、宇多丸さんも指摘していたけど、見飽きて来ている感じはあった。