「セーブ機能は己の命」オール・ユー・ニード・イズ・キル 智哉さんの映画レビュー(感想・評価)
セーブ機能は己の命
死んではスタート地点に戻り、また死んでは同じ場所からのやり直しと言う場面の既視感は、TVゲームそのもの。
何故、同じ時間を無限にループするのか?
その能力に秘められた意味こそが物語の核であり、その能力の設定を有機的に活かした話のオチには唸らされた。
内容としては主役のトム・クルーズが、全てを覚えていながらも負け戦の無限地獄を繰り返す話だが、そんな過酷な肉体労働をスタントなしの重装備で必死に演じるトム・クルーズの、役の凄みを見せようと頑張る姿に、思わず感情移入させられてしまった。
何度挑戦しても、死んで終わって、復活して…のしんどいプロセスを愚痴りもせずに頑張るイケメン中年の姿って素敵やん。
そして今作のヒロインはエミリーブラントでなければ務まらなかったと断言して良いほど、その存在感の凛とした儚さが戦場の徒花として、悲しき美しさを添えている。
推測になるが、この映画の原作の根底には殉死と言う日本独自の特攻思想がテーマとして機能している様に感じた。
その辺の日本独自の感覚とハリウッド映画の演出は意外と相性が良いのかもしれない。
ちゃんと原作読んでみよ。
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