劇場公開日 2014年7月4日

  • 予告編を見る

「死ねば死ぬほど強くなる」オール・ユー・ニード・イズ・キル ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0死ねば死ぬほど強くなる

2014年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

トム・クルーズって人は、映画として成立しそうな面白いモノについて、とても鼻が利くというか貪欲というか、まず自分に適合して且つ観客を楽しませることが出来る、て素材を確信的にチョイスする能力に非常に長けてるというか、選択眼がプロフェッショナルだと思うんですよ。今回は日本の、しかもライトノベルが原作だって云うんだから、おいおいなかなかの場所から抽出してきたなと。

昨今、ムービースターの名声だけじゃ、お客を劇場へ呼ぶ込むにゃ相当に厳しい状況の中で、例外的にトム・クルーズだけはお客さんの信頼を勝ち取って躊躇なく映画館に足を運ばせるみたいな力があって。引力とでも言えばいいのかな。勿論プロモーション活動込みの成果だとは思いますよ。でも、トムが出るんだったらば観てみようかしら!みたいな。多分、これ言い過ぎじゃないと思うんですよ。や、本当に本当に。「じゃあ、ここで彼の主演作品全部の興行収入を上げて証明してみせろ!」て言われるとそれはとても無理なんですけど。でもその証拠に、と言ったらアレだけども、大抵どれも面白いでしょ?彼が主演の映画って。「ああ、トム・クルーズの映画だなあ」て。ほら『ミッション:インポッシブル』シリーズ然り『オブリビオン』然り。映画界の中でもその作品の品質が100%保障(これぶち上げ過ぎかな)されてる、まさしくスター中のスターだと思うんですよ(さっきから気持ち悪いぐらいに褒めまくってるな、俺)。

まあ、それを踏まえての今作『オール・ユー・ニー・イズ・キル』ですよ。さっきも言いましたけど、まず選択眼ですよね、この人の。ラノベ原作なんて結構ニッチじゃないですか。ハリウッドで実写映画化ですよ。邦画なら全然珍しくないですけど。よく選んだなと。あ、そりゃあね、そりゃトム・クルーズが最初にこのラノベ見出して映画化に結び付けた訳じゃないですよ。彼の企画持ち込みではないです。当初の主演候補はブラピだったらしいですし。ただ、何て言うか、蓋を開けてみたらやっぱり彼の映画になってるんですよ。彼が主演であるべき映画だよね、ていう。

本編は、死んだらリスタート!て設定のタイムループSFなんですけど、兎に角バンバン死にますよ、トム・クルーズが。バンバン死にます。普通に死にます。死ぬ理由も色々あって、敵のエイリアンに殺されるパターンや相棒に銃で撃たれるパターンやトラックに轢かれるパターンや、それはもう多岐に亘るんですけど、死んだらリセットされてまた同じ場所から強制スタートです。タイムループですから。で、一応、主人公の設定は最初ヘタレです。ここがいつものトムさんらしくなくて。最初から最強ではなくて。オドオドキョロキョロしてて頼りがいがないんですね。で、死んで、生き返って、死んで、生き返って……を繰り返してったら、いつもの無敵なトムさん無双になるという。ここら辺りで「ああ、トム・クルーズの映画だなあ」と、普段の彼を見る訳ですね。

で、めっちゃ死ぬんで。十数回、数十回単位じゃないです。少なくとも数百回以上のレベルは余裕で超えてます。千回は下らないんじゃないかと予想しますが。どうなんでしょう。もっと逝ってるかな。この映画自体が、全部の死亡描写を拾ってる訳ではないので、○○回死ぬ!とは断言できないんですけど。当初のヘタレっぷりは本当に最初だけで、中盤からはすっかり屈強の戦士に仕上がってるのでね。そういう突飛な設定も自分のモノにしちゃうトムさんな訳です。まあさっき「無敵なトムさん無双になる」て前述したばっかりなんですけど。何が言いたいかっていうと、えーっと。そう、トムさんの映画なんですよ。やっぱり。どうしたってね。

夏にピッタリの「ああ、トム・クルーズの映画だなあ」です。そんな感じですね。ハイ。面白かったです。

ロロ・トマシ