「実はコアなSFファンの鑑賞を待っているSF映画だ」オール・ユー・ニード・イズ・キル あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
実はコアなSFファンの鑑賞を待っているSF映画だ
原作のライトノベルは未読
まるでゲームそのままの設定
ライフ無制限モード
死ぬとセーブポイントからゲーム再開
劇中でもこのステージは初めてだとかの台詞がある
何度も同じステージを繰り返しプレイすれば、やがてゲームの内容を覚えてクリアできるようになる
それを表現するシーンもある
ゲームの中の世界だ
ゲーム機の性能が上がってまるで実写と見紛うような精緻な映像のゲームは今や当たり前になつりつつある
とすると本作は1982年の映画トロンの系譜に連なる作品なのかも知れない
それどころか、「シミュレーション仮説」を踏まえた映画であるのかもしれない
実はこの現実世界自体がシミュレーション世界だという、そんなアホなというような学説が大真面目に学問として研究されているのだ
本作の原作は、日本のSF小説の巨匠筒井康隆が激賞し、日本SF小説の直木賞や芥川賞に当たる星雲賞の候補作にまでなった作品なのだ
この様に、本作は実はとても深いもので、コアなSFファンの鑑賞にも耐えうるものなのかもしれない
ライトノベルなんてと侮蔑のまなざしを送るようなうるさがたのオールドSFファンがだ
本作の映像がどこまで原作から由来しているのは分からない
しかしパワードスーツの歩兵達が巨大なドローンのような空挺輸送機の降下用ラックに装填され、次々と爆弾のように投下されていくシーンには、古いSFファンならのけぞって痺れざるを得ない
これはロバート・A・ハインラインの名作SF「宇宙の戦士」に登場する輸送宇宙船ロジャー・ヤングから外骨格の機動歩兵が軌道上から敵惑星へ降下するくだりを、絶対に意識して映像化したものだ!と驚く筈だ
この映像は「宇宙の戦士」を読んだ者でなければ作れないものだ
絶対にコアなSF小説のファンが関わって作られたものだと確信する
「宇宙の戦士」の原題はスターシップ・トゥルーパーズ
そのタイトルの映画はポール・バーホーベン監督によって1997年に公開されているが、機動歩兵も登場しないし、降下シーンもない
SFファンとしては物足りないものだった
まるで江戸の仇を長崎で討つような話だが、このシーンだけで、長年の鬱憤が晴れるだろう
実はコアなSFファンの鑑賞を待っているSF映画だ