96時間 リベンジ : 映画評論・批評
2013年1月8日更新
2013年1月11日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにてロードショー
姑息な小細工は不要! “最強の父親”に惚れ直す直球勝負のパート2
アクション映画史上には“最強”と謳われた主人公が何人もいるが、“最強の父親”ブライアン・ミルズのキャラクター設定はちょっとした発明だった。元CIA秘密工作員にして極度の親バカ。それまでアクション・ヒーローとはほとんど無縁だったリーアム・ニーソンの厳格なイメージと相まって、平常時と戦闘時ではがらりと豹変するブライアンの疾走&暴走に誰もが驚愕また驚愕。回想シーンを挿入してブライアンの過去をつべこべ説明したりせず、ひたすら現在進行形のアクションのつるべ打ちに徹した「96時間」は、まさしく一度手の内をさらしたらおしまいの“特殊なスキル”のごとき快作であった。
当然ながら「96時間 リベンジ」では、主人公の特異性を前面に押し出したサプライズはもはや通用しない。製作&脚本のリュック・ベッソンは、いかなる新たな魔法を生み出すのか。期待と不安半々で開けてびっくり、何と魔法はおろか、姑息な小細工にすら頼らない堂々たるパート2に仕上がっていたのだ!
前作でコテンパンにされた犯罪組織の長老が復讐計画を実行し、絶体絶命のピンチに陥ったところから再び“最強の父親”の闘いが始まる。そのストーリーに新味も意外性もないが、元妻と娘にも降りかかる危機が同時進行で描かれ、サスペンス&アクションが一体となった迫真のスリルが全編を貫く。異端の前作から王道の続編へ。そのシンプルにして小気味いい発想の転換が爽快なカタルシスを生む。これぞ横綱相撲。ブライアンが披露する新たな特殊スキルに加え、闇夜のパリから白昼のイスタンブールへと舞台を移したコントラストの妙もお見逃しなく。
(高橋諭治)