劇場公開日 2013年6月14日

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「不可能ではない、希望を持つ事は可能なのだ」インポッシブル 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0不可能ではない、希望を持つ事は可能なのだ

2013年11月15日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

怖い

2004年、スマトラ島沖で起きた大地震。そして周辺地域を襲った大津波。

もし、この映画が数年早く製作されていたら、日本で公開される事は無かっただろう。
何せ、津波のシーンは余りにもショッキング。
津波によって負った怪我やアザは生々しく、痛ましい。
リゾート地の惨状は地獄絵図。
人によっては、見て気が滅入り、辛いかもしれない。

僕は東日本大震災の被災地・福島の者だが、この映画を見て、むしろ良かったと思った。
何故なら、この映画は、某監督作品のような見世物ディザスター・ムービーではないからだ。

作品で描かれているのは、家族の絆。
津波で離れ離れになりながらも、再会を信じた家族の姿が胸を打つ。
人と人の助け合いも心に染み入る。
天災の前では、人間は何と無力。
しかし、その後の行動で人間の真価が決まる。
諦めない、くじけない、立ち上がる、前に向かって新たな一歩を踏み出す。
その逞しい、力強い意志こそ、人間の本当の真価だ。

ナオミ・ワッツが熱演。体力的にも精神的にも厳しい役柄だった事だろう。オスカーノミネートも納得。
今年の「ダイアナ」の方が期待されて、本作でのノミネートはギリギリラインだったそうだが、ノミネートされて良かった良かった。
ユアン・マクレガーも、自らも負傷しながらも家族を懸命に探す父親を好演。
特筆すべきは、長男ルーカスを演じたトム・ホランド。序盤、弟たちにも優しく出来なかった彼が混乱の中で成長、奔走する姿は本作もう一つのハイライト。

本作は実話。
実話ならではの重みで、少なからず希望を与えてくれる。
題材が題材なので、今の日本には非常にデリケート。しかし、作品の本質は今の日本にきっと響く。
見るべき価値のある映画。

ラストは切ないものもある。
被害者の命運の現実も忘れずに描く。

話は変わるが…
2011年3月、中国映画「唐山大地震 想い続けた32年」が公開予定だったが、今も公開のメドは立っていない。
本作も、見世物ディザスター映画ではなく、家族の絆を描いた作品らしい。
見た人の評判も良く、期待していた。
この作品の公開を、今も待ち続けている。

近大
としぱぱさんのコメント
2013年11月16日

近大さん、コメントありがとうございます。

この作品は試写会で不覚ながら涙したものです。
映画とはエンターテイメントを自負する私は
実は実話的な映画はあまり好きではありません。

ですがこの作品は心に残りました。
心情的なものは多様にあると思います。

みる価値のある映画

まさしく仰る通りです。
一人でも多くの人にみてもらいたいなあ。

としぱぱ