「タイバニの終幕?」劇場版 TIGER & BUNNY The Rising 映画好きさんの映画レビュー(感想・評価)
タイバニの終幕?
内容は、TVシリーズでみんなをひっぱてきた主人公、虎徹への応援歌とも受け取れるため、とりあえず「良かったね」という感じだけど、肝心の虎徹に最初から最後まで、覇気や力強さがなく(絵柄のせい?)、見終わった後も、(仮に話が続いたとしても)もう過去のキャラ?になるのかなという寂しい印象を受けた。
自分はダークナイト・ライジングみたいに、虎徹が1分しか持たない能力をカバーするため、人知れず努力して、1部のヒーローとしてふさわしくなる展開、もしくは能力減退の理由の解明および復活を期待していたのですが、全然そんなことはなくて、これまでみんながお世話になったし、仲間として寂しいからと、情だけで復帰させた印象。当人は自信なさげ。もちろん、市民に励まされて良い話だったけど、TVシリーズのような高揚感はなかった。2部に復帰したときのような「しがみついてやる」という気持ちの強さも表れてなかったので、応援したい気持ちも薄まった。このため、一部復帰というエンディングに反して、本当の意味でのヒーロー虎徹は終わったのではないかという一抹の悲しさが残った。
バーナビーは、相棒がライアンでもヒーローとしてはうまくいってたし、最後のキャラを倒すのにも他のヒーロー達がいて、ライアンも目を覚ましたので、ワイルドタイガーがいなくても勝てたんじゃないの?って思わされた。
虎徹は相手が強いときの観察力が鋭くて、攻略法を見いだしてきたはずなのに、それもなし。
故に、ライアンが「こいつの相棒はお前しかいない」と言った理由もよくわからなかった(むしろ、それなりに活躍し、あっさり去っていたライアンの方がバーナビーの相棒としてふさわしくみえた。ちゃんとバーナビーにも話しかけるし、明るいし、仲良くなるのも時間の問題の気がした)。
バーナビーは、もう、つっこみどころのないパーフェクトな格好いいヒーロー人間(逆にいうと普通)。他のヒーローと協力し合えば、相棒無しで独りでも問題なくやっていけるだろう。
もちろん、虎徹には1部に復帰してほしいけど、それはそれに伴う実力がないと、作品としての伸びしろがなくなってしまいそうで、かえって不安になった。いつもバーナビー頼みで、ヒーローに守られるヒーローになったら虎徹じゃない気がして。
ただ、能力を使わなくてもルナティックをひとりで引き寄せておくだけのポテンシャルは残っているようなので、そこの部分は期待を持ちたい。私はやっぱり、作品が続いたとしたら、ドジだけどやるときはやる虎徹が主人公であり続けて欲しいので(それは、映画の中の市民と同じ気持ちです)。
良かった点は、ワイルドタイガーを見た子供が「虎徹」と叫ぶところ。
タクシードライバーをやっているところをネットで書かれたり、市民が虎徹をそっと見ているところが想像できて面白かった。ただ、だったら、桂正和氏の漫画で妊婦を助けていたように、普段から虎徹が人助けしてるところの描写が風船エピソード以外にもあった方が、最後の「タイガー」コールが(自分の中で)もっと盛り上がったかもしれない。
自分は洋画も好きで、週に1回は映画をみるけど、タイバニはアニメで珍しくはまった作品。劇場版の大きいスクリーンで、Beginning も通して、スーツ無しでも躍動感のある虎徹が見れなかったのが心残りだった。
これで完結もきれいだけど、独特の味のある作品なので(それは主人公の魅力に負うところが多いので)、TVシリーズのちょっとした常識外れの粋な面白さを主人公に取り戻して欲しい。映画でスタッフのこだわり(絵など)が大きく変わってしまうのなら、オリジナルビデオでもいいと思う。
今回の絵だと、フィギュアの購買意欲なくなってしまうし。
エンディング曲の「さようなら、さようなら、今までありがとう」が、私の好きなタイバニとのさよならにならないことを祈ります。