「すべてを知ったうえで自分で選択する」真夏の方程式 nnrさんの映画レビュー(感想・評価)
すべてを知ったうえで自分で選択する
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テレビシリーズの第2弾は未視聴。小説も未読。
容疑者xの献身と同じく大切な人の罪を被る話。違うのは”愛”について湯川(あるいは作者)の理解が進んでいるというところ。
今回も誰も救われないような話だが、でも全員が自分ですべて知ったうえで納得し決断していることで、方程式が成立している。客観的に見れば不幸な結末だが、それぞれの主観的にはそうではない。容疑者xの献身では、愛について”解なし”としていたが、これが作者なりに考えた解なのだろう。
やりきれないがこれで全体最適になっている気もする。全体最適になっているけど、でもやっぱりやりきれない。
一番の問題は、容疑者xの献身のように、成実がすべてを知ったうえで自首を選択したらどうなるのだろう、って思っちゃうところ。この一手で今作の方程式が破綻するような気がする。この点と、やっぱりやりきれないって思っちゃう点で容疑者xの献身で残した疑問を解決できてないと感じるので自分としてはあんまりかな。
あと、最後の一緒にダイビングするところで成実の自殺をほのめかすシーンがあったが、あからさまに前作の雪山のシーンを模倣したような感じだったのは個人的に興醒めだった。雪山のシーンは原作にはないらしいし、今回も原作にないんだろう、これが監督の精一杯のオリジナリティなんだと思えて仕方なかった。
ただこのミステリーと少年との交流を同時に描く構成力は見事だった。
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