「少年は夏が来る度に方程式に出会うだろう」真夏の方程式 モカさんの映画レビュー(感想・評価)
少年は夏が来る度に方程式に出会うだろう
きっと少年は、夏が来る度に事件のことを思いだすことでしょう。その度に悩み、自分の中で解を見つけるべく、方程式に向き合うでしょう。
この作品は、ストーリー中でこそ方程式という単語が使われていませんが、「提示された問と、その解を求める姿勢」に終始していると思います。方程式という単語は、問題(クエスチョンだけでなく、プロブレムの意も含めて)という言葉と等価だと考えてもいいかもしれません。
どうして事件が起きるに至ったか。ミステリにおけるドラマ性は、この比重が大きいものです。しかしこの映画は、前作ともある種同様ですが、起きた問題に対処していく姿勢をドラマとして描いています。
故に、映画内での描写は、問題が提示されるまでの過程にはあまり割かれませんでした。レビューを拝読していると、事件が起きるまでの動機が弱いといった内容のものを何度も見かけましたが、この点はそこに起因しているのでしょう。
難解な解を紐解く、というミステリ性を求めて観れば、少し肩すかしをくらうかもしれません。科学、あるいはそれを含めたあらゆる問題に対し、人はどう向き合うのか――そこに着目すれば、楽しめると思います。
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