「机上の空論ではない愛情の方程式。」真夏の方程式 nano-hanaさんの映画レビュー(感想・評価)
机上の空論ではない愛情の方程式。
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湯川シリーズは残念ながら未読。
容疑者Xの献身(映画)を少し見た程度です。
1+1=常に2になると思い込んでいる文系頭の私にとって、実験を繰り返す湯川教授のペットボトルロケット実験シーンはとても興味深く、映像も美しかったです。
何度も実験する、呆れるほど実験する、それでも毎回求めていた答えに辿り着くとは限らないのがこの世の理。
その”答え”もまた”完全な正解”などなく。
だから人間は間違えながら、時には犠牲を出しながら、選択を重ねて近づいていく。
今回の事件と、調査船のテーマがぴったりと収まっていました。
文章にすると安直ですが家族とは何か。心にのしかかりました。
登場人物の愛の形が歪んでいるとか異常ではないのです、ただただ深く。だからこそ余計に苦しい。
そして最初は楽しい夏休みを満喫していた普通の少年、恭平君の抱えきれない思いが痛かったです。
小さな体で頭の中では受け止められなくて泣きながら教授を探すシーン。駅で見つけて駆け寄る姿。
「一緒に悩み続ける、君は一人じゃない。」
教授の一言で眼差しにかすかな安堵が見えたのが救いでした。
前回の柴咲コウさん同様、吉高由里子さんを前面に出す事なく良いポジションに抑えてあるのが実に効果的。
杏さんの水着姿は何と美しい事か…最後に映るバックショットは哀しみを背負うだけではない覚悟を感じました。
TVの延長作品から完全に映画向けにシフトした今回。
良い所はそのままに、音楽、映像美も相まって素敵な一作品に完成しておりました。
お見事。
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