劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日のレビュー・感想・評価
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上島竜平の芝居が最高
映画としてはまあ・・・テレビで十分の内容だし 1800円出してみる価値ははっきり言ってギリギリアウトだと思う。 ただ一点、上島竜平の演技が素晴らしい。 最初の茶器を大事そうに抱える演技とかそれだけ見ても素晴らしい。 最後の泣くシーンも芸人の演技ではないと思う。 「ただの茶器だぞ」の一言に込められた演技力は本当に度肝を抜かれた。 個人的にはこれだけでも金を払った価値はあった。
TVドラマ版の劇場版への素直なスケールアップ
TVドラマで見慣れている設定をお金を取って見に来てもらうためにエンターテイメントにデコレーションした映画という感じで、逆にお茶の間気分でお気軽に見れた反面、ところどころ「早送りボタン」を押したくなる衝動に駆られてしまった。 内容については、TV版と同様に歴史にかかわった名も無き人々を取材対象とすることには一貫性があるのだが、集客上の理由からか時任三郎、夏帆、特別ゲストとして宇津井健が登場するのには、無名の役者中心のTVドラマから、一番大きく変わった点で、ノンフィクション性がスポイルされてしまった感じはある。 とはいえ、TVドラマで見るより、要潤が男前だし、ゲストの夏帆がとびっきり可愛い(セーラー服姿はギリギリセーフか?)。 結局のところ、日常では大画面、大音響でTVドラマを見ることができないので、これはこれで、楽しむことができた。
リアルティ抜群の歴史再現ドラマ。結構ハラハラさせられます。
劇場版では、30分のテレビ版で触れることのない、タイムスクープ社の内情とか記者の沢嶋の取材風景など克明に触れるので、初めて本作に触れる人でもテレビ版を見ていなくても充分理解できます。
特に本作のポイントは、沢嶋が歴史に対する矜恃が語られることです。タイムスクープ社の歴史調査は二つの組織に別れています。「歴史上の大事件や有名人物の調査」を「第一調査部」が、「名もなき人々の営みの調査」を「第二調査部」が担当していて、沢嶋が所属するのは「第二調査部」でした。
今回初めて調査に同行することになった細野ヒカリのような新人の研修生からみれば、「第二調査部」は地味な部署に見えてしまいます。しかし、第二調査部員としてのこだわりを持つ沢村は、歴史ミーハーなヒカリに、「大きな歴史の中で彼らに光が当たることはない。しかし彼らがいたからこそ歴史は繋がれてゆく」と語り、実際の調査活動で証明してみせるのです。
タイトルは、「安土城 最後の1日」ながら、当初の沢嶋の取材目的は、本能寺の変後に揺れる京都の民衆を取材することでした。一切武将を相手にしないところに沢嶋らしさが滲みます。その中から沢嶋は、人々の救助にあたっていた織田家の武士・矢島権之助に密着することにしたのです。ところが権之助のもとに、博多の豪商・島井宗叱が立ち寄り、持参した茶器とともに博多に無事送り届けてほしいと懇願。「織田家最後のご奉公」として、という言葉に突き動かされて権之助は承諾します。密着取材中の沢嶋も同行することに。この茶器が盗難に遭ったことで、行方を捜して「安土城 最後の1日」に辿りつく流れは。なかなか脚本がねられていて、よく繋がっています。その中のエピソードで野盗の襲撃を受けた権之助らに加勢する農民たちは、シーズン5の14話に登場した・山城国・大幡村の農民たち。せっかく14話では村の守り神のお石さまを織田軍の収奪から投石だけで守り抜いたのに、劇場版では結局とられてしまったことになっていました。ちょっと残念。農民たちもお石さまを取り返すために、権之助たちに加勢して安土城に向かうことになったのです。このように、随所にテレビ版のエピソードが散りばめられていました。
さて、タイムトラベルもので鉄則は、歴史を変えてはならないこと。タイムスクープ社も例外なく、逸脱した場合調査員に本来の史実に戻す「歴史修復作業」を命じることになります。本作の場合、島井の茶器が沢の濁流にのまれたことで、その後の日本の歴史が大きく変わってしまいます。指令を受けた沢嶋とヒカリは、戦時中の日本に飛び、学校の倉庫に保管してあった茶器を盗み出して歴史を還元しようとするのです。
でも、調査員の衣装のまま戦時中の日本に舞い込むのは目立ち過ぎます。案の定、見つけられて逃走劇に。茶器を盗み出すシーンは、ミッション:インポッシブル並みのスリルでした。「歴史を変えてはならない」と自戒している割には、歴史を大きく変えてしまうようなリスキーな行動を沢嶋はやってしまいがちなんですね。
もう一つ、スリルを感じさせるポイントは、タイムスクープ社を裏切った調査員の存在。歴史上の著名な品々は、当然骨董価値は相当高くつくものです。そんな金銭価値に目が眩んだ調査員が、茶器に目をつけて「フリーズガン」で沢嶋を襲ってです。本部も巻き込んで暗躍する歴史コレクター。裏切り者は誰かという謎と、タイムスクープで時空を超えて、何時何時沢嶋が襲われるかしれないという緊迫感でハラハラさせられました。間一髪という状況が繰り返えされるので、少しも飽きさせません。
そしていよいよ安土城に辿りついた沢嶋たちと、先に到着して宝物の独り占めを狙う野盗たちとの対決シーンが見物でした。このシーンでは、野盗の頭目で権之助の元同僚だった伴山三郎兵衛と対決する殺陣のシーンが必見です。
主役を喰らうくらい権兵衛役の時任三郎が凛々しく決めるのです。それだけでなく、昔の同僚を切らざるを得なかった悲しみもたっぷり伝えてくれました。
さて、ラストなのに安土城は全然燃えていません。しかも、ルイス・フロイスの報告や『日本西教史』収載の当時の宣教師の記述によって放火した犯人とされる織田信雄は、まだ安土に到着していなかったのです。しかし、その歴史上の刻限は刻々と迫るのに、エンディングクレジットが。火の手が上がる安土城が燃えた原因は、結局分からずじまいかと思った瞬間、エンドロールで、沢嶋が放ったスクリーンカムロポットの映像がレポートされていくのです。1号機から順々に、城内の野盗の振る舞いや、加勢した農民たちの一寸したミスなどクローズアップされるもの決定的ではありませんでした。そして最後の5号機が映し出したものは…なぁんと…ガッカリ!
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