レッド・ライト : 映画評論・批評
2013年2月5日更新
2013年2月15日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにてロードショー
超能力者VS.科学者チームの闘いを、考え抜かれた構成と演出で魅せる快作
どうやれば超能力を科学的に検証できるのか? どうすれば偽超能力のトリックを見破れるのか? 大学の研究チームが超能力者と対決するスリルと興奮の中で、主人公たちと共に考えてしまう知的で斬新なミステリー。
研究チームは、30年前から超能力を調べている沈着冷静な科学者マーガレット(シガニー・ウィーバー)と、時に熱くなる助手のトム(キリアン・マーフィ)、そして後から加わる学生サリー(エリザベス・オルセン)。
前半はその調査を追い、騙しの技を、霊媒のシンプルな手口から心霊治療師一味のハイテク機器を使った組織的トリックまで段階を踏んで明快に示していく。その後でカリスマ超能力者サイモン・シルバー(ロバート・デ・ニーロ)を本格的に登場させ、予測不能の未知の領域に観客を誘う構成が見事。
「シルバーは危険」と言うマーガレットの制止を振り切ってトムが調査に向かうや、彼の周りで不可解な現象が起こりはじめる。その続発する怪異の描写が秀逸なため、見る側はトムと共に「何が起こっているのか!?」と驚き恐れ、考え、見入ってしまうのだ。
デ・ニーロがうさん臭いシルバーを威圧感たっぷりに体現。その卓越した話術、すべてが計算ずくの振る舞いや舞台仕掛けに幻惑される。対するマーガレットとトムには心の傷があり、いつしか「何かを信じることの意味」や「科学的に疑うことの難しさ」「心の弱さ」といった問題にも踏み込み、深い余韻に包まれる。緻密なリサーチを元に脚本も書いたロドリゴ・コルテス監督の考え抜かれた構成と演出、映像に魅了される快作だ。
(山口直樹)