劇場公開日 2013年10月26日

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「1人の哲学者として悪を捉える」ハンナ・アーレント Massimo Tonorianoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.51人の哲学者として悪を捉える

2013年12月9日
iPhoneアプリから投稿

悲しい

知的

高校の社会の授業で習った程度の予備知識だったが、ナチズムを経験した人だと覚えていたので、背景は良くわかった。

ナチス戦犯アイヒマンは、抑留経験のある彼女にとっては憎むべき存在。そのアイヒマン裁判の傍聴をした彼女は、アイヒマンを単に命令に従ったに平凡な人物にすぎないと評価する。また抑留キャンプのユダヤ人指導者たちの中にナチスに協力的な者がいたことが裁判で実証され、そのことを彼女は批判した。これらの傍聴記録は大きな波紋を呼び、彼女はユダヤ人コミュニティを敵に回す。

圧巻は自分の記事について大学で行った彼女のスピーチ。この中で彼女はユダヤ人としてよりも哲学者として、この裁判を理解していきたいという自分の姿勢を明らかにした。同胞を多く虐殺されたという感情に支配されるのではなく自分の哲学者としての姿勢を明らかにしたのだ。

その彼女はアイヒマンを平凡なるが故に指示に従った「凡庸の悪」と表現していたが、その彼女のスピーチを聞いたあとは、ナチスとオウム真理教の事件が重なって見えた。

Massimo Tonoriano