「アイヒマン裁判をめぐって」ハンナ・アーレント FormosaMyuさんの映画レビュー(感想・評価)
アイヒマン裁判をめぐって
アドルフ・アイヒマン裁判とそれをめぐるハンナ・アーレントの行動の物語。真理を求める哲学者らしくアイヒマン裁判を政治ショーとしてではなく批判的に捉える姿が描かれる。しかし、作中にもある通りハイデガーの愛弟子である彼女にしてみれば、アイヒマン裁判もまた解釈学的循環の中にあることは自明のことであっただろう。そこに身を投じ、自らの考えを怯むことなく述べるという実存主義的決断を感じられる。
とはいえ哲学的背景が頭に入っていないと、単にアイヒマン裁判に独自の主張をした人の伝記に思えるのは哲学者を主題にした映画の常で仕方がないところだろうか。哲学者の人となりを理解するためであればともかく、哲学者の思想を理解するために映画を見るのはお勧めできない。
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