地獄でなぜ悪いのレビュー・感想・評価
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狂ってなぜ悪い。
これが映画でなぜ悪い。と言いたくなるような愛すべき作品。
映画ファンならもちろん、出来映えに笑ってしまうところだが
(特に自主映画製作に励んでいた皆さんとか)
とにかく描いている世界や構成は、総てに於いてハチャメチャ。
まだやるか、まだ入れるか、という悪態醜態をブチ込みながら、
最後まで、そのハイテンションを保って終わらせることの驚異。
少し前に外人若手監督のハチャメチャ映画の感想を書いたが、
同じハチャメチャにして、歴然とその仕上がりには格差を感じる。
この地獄絵図と化した決戦会場が笑いに包まれるという、
狂った世界の正しい纏め方。を執拗に説いているような作品。
監督が狂っていると、役者にもそれが伝染しちゃうのか、
堤真一の顔面演技の面白さに度肝を抜かれ、
長谷川博己のキレっぷりに度肝を抜かれ(少年役も最高)、
二階堂ふみの色気出しまくり演技に度肝を抜かれ、
友近の無表情にも血塗れの姿に度肝を抜かれ、
星野源はこの作品に出たから再発したのかと気の毒に思い、
國村隼は最近こんな役ばかり演じているのを気の毒に思い、
岩井志麻子の登場にはもう、開いた口が塞がらなかった。
その他大勢の皆さんにしても、ほぼ全体的に狂っている。
いちいち大袈裟な演出と映像にオゲーっとなりながらも、
あ~こういう楽しさを現在の映画は齎してくれていないな、と
郷愁さえ感じてしまう。映画製作の裏側を描く秀作はあるが
ここまでの集合体を観せられると、狂言に近い気がしてくる。
役者の精神状態を一番に心配してしまうという、稀有な作品。
思えば撮影中の長谷川博己が、監督に「もっと」「もっと」と上限
なきテンションを求められて、本人がとても辛そうにしていた。
普通、ああいうテンションで人間って活動してないもんね。
(決して万人受けを狙ってない映画。だからこんなことができる)
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