劇場公開日 2013年4月19日

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「狙いは「記憶の上書き」でしょう。あぶない、あぶない。」リンカーン お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0狙いは「記憶の上書き」でしょう。あぶない、あぶない。

2020年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

映画のストーリーは、「奴隷解放法(憲法改正案)を通すために、賄賂などを使って反対派の議員を切り崩し工作したこと」に終始しており、日本人には、「はぁ……。これはいったい面白いんですか?」みたいな感じでしょう。

米国人以外には、まったく興味を持たれない仕上がりになったことについて、きっとスピルバーグ監督も危惧していたのでしょう。
映画が始まると同時に、本人がノコノコ画面に出てきて、最初に「日本の皆様へ」みたいなことを言っています。

監督が口で作品の言い訳をする時点で、映画として「負け」なんですけどね。

リンカーン大統領について、あらためて学び直すきっかけには、なるかも知れないです。

大統領役も、奥さん役も、現実の写真とウリ二つ。
監督が、アメリカ人の記憶の上書きを狙ったのであれば、それは成功しています。
アカデミー賞を取るのも当然かも知れません。
大統領の名言集みたいなのも、あちこちに散りばめられていますし。

ただし、あくまで日本の映画館で日本人が見る評価とすれば、★★評価が精一杯。

リンカーンは単純に偉いわけではありません。
彼が主導した、大規模・執拗かつ徹底的なインディアン大虐殺。
映画ではスルーしていますが、インディアンに対してはリンカーンは本当に残忍きわまりなく、血塗られた暗黒の大統領であったという史実も、ここで指摘しておかねばならないと感じています。

インディアンの土地に侵攻する→インディアンと戦争になる→条約を結び土地を取り上げる→だけど代金はいつまでたっても払わない→インディアンが暴動を起こす→虐殺する。
これの繰り返し。

この虐殺を主導したのがリンカーンです。
代表例が、
1862年の「ダコタ・スー族戦争」→虐殺・追放とか、
1864年の「ナハボ族強制収容」→虐殺・500キロの死の行進とか。

彼の祖父がインディアンに殺されたことが一つの原因らしいですが、こういう卑劣な暗黒面をないものとして「正義の味方リンカーン」を描いても、ねぇ。

リンカーンにだけは、「法の下の平等」なんてことを口にしてもらいたくなかった。
それは、はっきりと偽善なのですから。

お水汲み当番