体温のレビュー・感想・評価
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本物の顔と體
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リアルドールを車椅子に座らせ散歩する男性は、『ラースと、その彼女』(2007年公開、ライアン・ゴズリング主演)の主人公ラースだけではなかった。
今作はリアルドールとの幸せな日常から始まる。このパターンはだいたい悲しい展開になるのだ。
無表情の人形と、表情豊かな倫子の二役を演じた桜木凛(のちに改名して沼田早苗)さんの濡れ場は美しい。
主人公の熱烈な想いが伝わってくる描写も良かった。
本物の女性である倫子を愛したら、人形がニセモノにしか見えなくなる描写も上手い。
相手の體や外見だけではなく、中身つまり思考する脳や生命を維持する内臓など全てをまるごと愛おしく思い始め、そうなると、もうリアルドールに対しては本氣になれなくなる。しかし、人形ならではの良さというものに主人公は取り憑かれている。
人形の顔と體を分離して、顔のない體だけの人形で性欲を満たし、ラストは體のない顔とキスをするというのは、主人公の成長ではなく変化しただけに留まっているという悲しい結末なのだった。
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