「構成が惜しい」ザ・ワーズ 盗まれた人生 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
構成が惜しい
基本的には面白かったのですが、終盤、特にラストが全く持ってスッキリせずで、思いっきりモヤモヤ感が残ってしまいました。
自分である程度想像しなければいけない通向けっぽいラストって、何か苦手だなぁ・・・。
劇中劇に劇中劇があるような三重構造的作りの作風自体は良かったのですが、現実の世界の話がところどころよく分からない部分があって、勘の悪い私にはもう一つピンと来ない作品でした。
まあ劇中劇的なブラッドリー・クーパーが演じた若手作家ローリーの話と、ジェレミー・アイアンズが演じた老人の若かりし頃の話は、本当に興味深く見れたんですけどね。
切ないラブストーリー、そして盗作・・・。
まさしくこれぞ盗まれた人生、二人の運命の交錯具合は、とても見応えがありましたよ。
ジャンルがサスペンスだったので、てっきり盗まれた側が脅してドロドロした展開になると思ったのですが、そう言ったタイプの作品ではなく、なるほど罪を背負って生きるとはこう言うことなのかもと思わず考えさせられた部分があったりで、いい映画だなと終盤前までは思ったんですけど・・・デニス・クエイドが演じた作家ハモンドの現実の世界の話が、私の頭が悪すぎたせいかいまいち頭に入ってこなくて、結局消化不良感が強く残ってしまいました。
ハモンドがあの人だと言うのは容易に想像が付くのですが、何か思わせぶりな感じが鼻に付く・・・。
それとオリビア・ワイルドが演じた女性は?何となくしか想像が付かなくて、もどかしいなぁ(苦笑)
そしてあのラスト、いい映画だったのに、構成が何とも勿体無いなと感じた作品でした。
>kkさん
コメントありがとうございます。
なるほどなるほど、その解釈が正解な気がします。
この映画、いまいち分かり難くてモヤモヤしていましたが、スッキリしました。
もう少し万人にも分かるよう作ってくれれば見終わってすぐスッキリできたのですが、やっぱり簡単には分からないよう作るのが作り手のプライドみたいなものなんでしょうかねぇ・・・。
素晴らしい考察ありがとうございました。
ここで書くことは、私がネットの考察をいくつか見てたどり着いた1つの考え方として聞いてください。決して正しいとは限りません。
最後のシーンで小説家が若い女性に、青年(若い頃の小説家)がどうなったと思う?と質問します。
そして女性は、破滅したわ。夫婦は別れ、青年は後悔の念に襲われ、毎晩寝れないと答えます。
そして二人はキスをします。
とこらが小説家は行為が続くことを拒みます。
ここで女性が「何が言いたいの?」と字幕では訳されています。
でも実際には「What do you want? What do you really want?」と言っています。
直訳すると「何が望みなの?本当に望んでいるものは何なの?」となります。
これをシーンに合うように意訳すると
「あなたが本当にやりたかったことは何なの?」となります。
この後、青年(若い頃の小説家)夫婦が出てきて
青年が「僕が悪かったよ」というシーンで映画が終わります。
しかし、このシーンは以上のことを踏まえると
本当に起こったことではなく、説家が現在でもなお、昔の妻に言えずに後悔している事だとらえることができます。その後悔から若い女性からの誘いを途中で断ったと思われます。
話の流れから、小説家は、昔彼女に謝り、仲直りすることができず
若い女性が言ったように破滅の人生を送ったと考えられます。
最後に、老人がフランス人の妻ではなく、自分の原稿を選んでしまったように、青年も妻との日常の生活ではなく、原稿(成功?異なる世界)を選んでしまった。
それを今でも後悔しているという悲しい映画ですね。