「銀さんの居る“今”」劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
銀さんの居る“今”
2013年に公開された『銀魂』のアニメ映画第2弾。
“完結篇”と冠し、原作者原案による集大成的ストーリーが展開。
始まり方は至っていつも通りユル~い。
映画館でバイト。映画泥棒をとっちめる。
何か恨みでもあるんかい!ってくらい映画泥棒を何度もどついたり、映画鑑賞時のマナーの注意、大ヒット公開中『アレ勃ちぬ』の入場者プレゼント“三位一体フィルム”とか、無駄に長いお約束。
でもまさか、終盤“三位一体フィルム”に感動させられ、映画泥棒が重要キャラになろうとは…!
突然、映画泥棒に別世界に飛ばされてしまった銀さん。
超リアルな3Dの映画の中の世界…?
いや、ここは…
5年後の世界。
まず衝撃は、自分の墓。
次に衝撃は、荒廃した江戸の町。
一体、何があった…?
衝撃もう一つ。2人の若者と出会う。“洞爺湖”と刻まれた木刀を持つ眼鏡の青年と、チャイナドレス姿の美女。ツッコミとアルを捨て、キャラ一変した新八と神楽!
映画泥棒から銀さんであると知られるとマズいと注意を受け、ハナク装置で別人“珍さん”に成りすました銀さん。
二人から何があったか聞く…。
“白詛”なる病原菌が蔓延し、世界中で人々が死に絶え、多くがこの星を去った。残ったのは、僅か…。
5年前、銀さんは早々とこの危機を察知し、調べるも、消息不明に…。
アニメ映画ではよくあるタイムトラベル/パラレルワールド物に、終末世界物。
いつに無く、シリアスな設定。
でも、そこはちゃんと『銀魂』ワールド。ギャグもたっぷりと。
仲違いしている新八と神楽だが、時々ツッコミとアルが出てしまう。
ハナク装置で周囲には別人に見える銀さん。その放送コードギリギリの姿…。
荒廃した近未来世界に必ず居る奇抜な出で立ちの奴ら。パロディーもたんまりと。
江戸の町は変わり果てても、お馴染みの顔触れが集うと掛け合いは変わらない。
居ないのは、銀さんだけ…。
調べていく内に、黒幕の存在に辿り着く。
銀さんの過去、攘夷戦争時代に相対した、“蠱毒”なる呪術を使う“星崩し”の異名を持つ“魘魅”と呼ばれる謎の人物。
倒した筈だった。が…
過去の亡霊が再び襲い来る。
追い詰める。
衝撃と愕然の正体と真実を知る…。
正体は何となく予想付いたものの、真実は仲間思いの銀さんにとってクソッタレ以外の何物でもない。
ケリを付ける。攘夷戦争時代にタイムスリップして、ある人物を殺さなければならない。
しかしそれは、銀さんと仲間の全てが消えるという事。
ようやく珍さんが銀さんである事に気付いた新八と神楽。ここで、“三位一体フィルム”が泣かせのアイテムに。
銀さんの居ない未来なんて…。
制止を振り切り、過去に戻り、ある犠牲によって、世界は元通り平和に…。
…と、思ったら!
掟破りの展開!
感動路線がまたまたハチャメチャな『銀魂』ワールドに。
涙を返せ!と言いたくなる所だが、絶対的危機からの反撃、激しいバトル、何より熱い友情に、この『銀魂』もジャンプ漫画の王道なんだと改めて思わせる。
痛快な、さながら万事屋大合戦!
そう、皆同じなのだ。
銀さんの居ない“今”なんて…。
ギャグにシリアス、なかなか捻ったストーリー、興奮のアクションに、感動…。
実写版2本、アニメ映画版2本しか見てない自分が言うのもナンだが、『銀魂』の魅力が濃縮。
一番良かった!