人生の特等席のレビュー・感想・評価
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仕掛けに気づいてもなお楽しかった
本作のテーマも、仕掛けも、「Trouble with the Curve」という原題が全て包含している素晴らしいタイトルでした。
そのうちの一つしか取り上げていない邦題が非常にもったいない作品です。
こんなありきたりの、「なんな~く良さそうな話」と思わせたい心が見え見えなタイトルを付けた方には、もう一度本作をしっかり見直してみて欲しいです。
長い人生で誰もが必ず遭遇する「人生の転機」。それはいつ来るか、また何回来るのかも分からないけど、そこでの判断や行動がその後に大きな影響を残すこともしばしばあります。
そんなターニング・ポイントをそれぞれ迎えた父と娘を、淡々とそしてじんわりと温かいエピソードで綴った快(ちよい)作でした。
正直言えば、メジャーのスカウトとして評価に取り組むバッターの行く末と、おそらく製作者側はどんでん返し的に準備したであろう、別の若者のことは登場した瞬間に感づいてしまいました。(原題が良すぎましたね)
でもそれはそれ。映画としての面白さは全く減ずることなく、エイミー・アダムスの、子持ちとはとても思えない魅力も楽しみながらあっという間に過ぎた娯楽の時間でした。
クリント・イーストウッドは、制作者としても役者としても、目が離せませんね。
心温まる映画
父娘の長年の確執が徐々に解けていく、それがとても自然に描かれていて、最後は心温まるハッピーエンドでした。すべてが丸く収まると「うまくいきすぎ」感が出ることも多いけど、この映画については「うまくいってくれてよかった」と安心してしまうほど。
それから個人的に、セリフが(日本語字幕が?)とてもWittyというか、ストレートに言うよりちょっと機転を利かせた言い回しが多く、よくできているなと思いました。
クリント・イーストウッドがとてもいい味を出しています。こういう頑固親父的な役はとても向いています。
映画として面白いが野球好きにはなおさらのこと!
加齢で体力の何かと衰えた老スカウトを中心にその娘との親子の葛藤を描きながら真の有望新人を結果的に発掘するまでをイーストウッドの素晴らしい演技の元で見せてくれた。野球大好き人間の立場からのレビューであることをお断りしておくが、最後まで楽しく見れたのは第一に脚本が良くできていたからであろう。昔の野球映画「フィールドオブドリームズ」と肩を並べる名作である。視力の衰えた主人公は、「打つ音」「捕る音」で野球技術を判断できると、老いに抵抗しながら頑固にがんばる。そして今の野球スカウトはパソコンによるデータ収集と解析の世界になってしまって、現場を見ることをしなくなったと嘆く。結局、主人公から野球を教え込まれていた娘はスカウト一覧データから外れていた無名の新人を発掘することに成功するのだ。老いた主人公は黒澤明の「デルスウザーラ」の主人公に重なる。シベリアの古老の猟師は視力が衰えてきて狩ができなくなってしまう。それは森で生きてゆけないことを意味した。年の重ね方についていろいろと考えさせられる映画であった。「人生の特等席」などは多分ないのかもしれない。きっと、自分で精一杯がんばった席が特等席なのだ、と映画は言っているようだ。
アメリカ映画らしい正義感も嫌味なく表現されていて良かった。主人公の娘の絡む恋愛エピソードもよくできていて60半ばの大人にも楽しめた。 全体的にメインとなる登場人物が上手に描かれている。それにしてもイーストウッドはすごい人だと感心した。
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