人生の特等席のレビュー・感想・評価
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映画として面白いが野球好きにはなおさらのこと!
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加齢で体力の何かと衰えた老スカウトを中心にその娘との親子の葛藤を描きながら真の有望新人を結果的に発掘するまでをイーストウッドの素晴らしい演技の元で見せてくれた。野球大好き人間の立場からのレビューであることをお断りしておくが、最後まで楽しく見れたのは第一に脚本が良くできていたからであろう。昔の野球映画「フィールドオブドリームズ」と肩を並べる名作である。視力の衰えた主人公は、「打つ音」「捕る音」で野球技術を判断できると、老いに抵抗しながら頑固にがんばる。そして今の野球スカウトはパソコンによるデータ収集と解析の世界になってしまって、現場を見ることをしなくなったと嘆く。結局、主人公から野球を教え込まれていた娘はスカウト一覧データから外れていた無名の新人を発掘することに成功するのだ。老いた主人公は黒澤明の「デルスウザーラ」の主人公に重なる。シベリアの古老の猟師は視力が衰えてきて狩ができなくなってしまう。それは森で生きてゆけないことを意味した。年の重ね方についていろいろと考えさせられる映画であった。「人生の特等席」などは多分ないのかもしれない。きっと、自分で精一杯がんばった席が特等席なのだ、と映画は言っているようだ。
アメリカ映画らしい正義感も嫌味なく表現されていて良かった。主人公の娘の絡む恋愛エピソードもよくできていて60半ばの大人にも楽しめた。 全体的にメインとなる登場人物が上手に描かれている。それにしてもイーストウッドはすごい人だと感心した。
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