劇場公開日 2013年3月29日

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「異質=異常ではない」パラノーマン ブライス・ホローの謎 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5異質=異常ではない

2013年4月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

過去に魔女として処刑された人物も、死者が見える少年ノーマンも異質な者として周りから冷たい目で見られる。そもそも異質とは何か? 大勢にある者が自分たちを正常と思い込んでいるだけで、本当は多くの欠陥品のひとりに過ぎないのかもしれないのだ。
ノーマンと親しくなるニールが言う。「みんな怖いからイジメるんだ」。人種差別も自分たちが作り上げてきたものを壊されるのではないかという怖れから起こるのかもしれない。
皆、本質は変わらない。見た目だけで判断したり力を誇示するのは危険だ。この映画でも、本物のゾンビよりも顔をパックし過激な発言をする人間のほうがよほど怖いし危険な存在だ。
この作品は、異質=異常ではないと教えてくれる。

ストップモーションアニメ、つまりひとコマひとコマ人形を少しずつ動かして撮影する方法だが、実に芸が細かく動きが滑らかで表情も豊かだ。ノーマンの母サンドラのクチ周りの膨らみなどは絶妙だ。

効果音、とくにバックグラウンドで密かに鳴っている音とか音楽の使い方は「インディ・ジョーンズ」に似ていてスピルバーグ的だ。
「脳内ニューヨーク」などのジョン・ブライオンによる音楽も、シーズンになると街角で耳にする「ハロウィンのテーマ」のフレーズが潜んでいて楽しい。

魔女の魂が救われていく描写はどこか日本のアニメ風で、「サマー・ウォーズ」の細田守監督などの影響があったのではないかと思いながら観た。

マスター@だんだん