遺体 明日への十日間のレビュー・感想・評価
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このような方々がいたからこそ、最期の別れができたのだろう
泣いた
10年前の映画だとは知らなんだ
初期対応、準備がこんなに大変だとはね。
ある程度マニュアルがないと現場は混乱するわ。
西田敏行さんの安心感……。
あのような方がいてくれたら亡くなった方もさらに救われた気持ちになる。周りも。
地震のあとすぐ、次の日にはご遺体を目の当たりにして、それも多くのご遺体を。
その中であのような対応ができるか自信ないよなあ。
亡くなった方に対して、丁寧に、優しくしたいと思う。
ご遺体をすぐに見せるのではなく、特徴を記載してから会わせたり、
ブルーシートではなく綺麗な毛布をかけ直したり、祭壇を設けたり、
震災後の混乱のときはそこまで気が回らないし、映画を見ていても、そこまで頭回らなかったと気付かされた。
ライフラインが断絶してるからもちろん火葬場も動かないし、そもそも火葬場が破損してるかもしれない、
お棺を安置所まで持っていかないといけないし、お棺自体の手配も必要。
ひとつの安置所だけでこの混乱で、この状況で働く方がいたからしっかりと悲しむこともできるんだなと。
被災者の気持ちになりがちで、
行政の方やボランティアの方の気持ちになかなかなれないので、ハッとさせられた。
できる限りの寄付やボランティアをしていこう。
そして祈ろう。
22.12.10 DVD
現実。
どこまでリアルに描かれているか私には知る由がない。と言うか計り知れない。
お坊さんとは良い職業だと思う。あれだけ絶望的な状況で、お坊さんがお経を唱え始めると一気に空気が変わる。それまで救いを求める場所がなかった人々が縋るように拝む。つい自分も手を合わせてしまう。
海水に、下水やガソリンが混じって凄い臭いで・・
映画「遺体 明日への十日間」(君塚良一監督)から。
3.11(東日本大震災)を題材にした映画をこれまでも何本か観てきたが、
私は、この作品の取り上げ方が一番納得できた気がする。
当時の津波映像が使われるのは、あまりにもリアル過ぎて、
被災者のフラッシュバックを考えると賛成できないし、
かといって、お涙頂戴的に、妙に「絆」を強調する作品は、
映画とわかっていても、リアル感が感じられない。
今回の作品は、今までマスコミなどがスポットを当てなかった
「遺体安置所」という場の設定と、徹底取材にも基づいた、
五感をフル活用した台詞などが、私を驚かせた。
マスコミは、津波映像に代表されるように、視覚を中心に「3.11」の悲惨さを
伝えようとするが、視聴者にはなかなか伝わってこないのが現実。
だからこそ、津波現場から戻った人の台詞は、重たかった。
「海水に、下水やガソリンが混じって凄い臭いで・・」という嗅覚や、
(遺体に向かって)「寒くないですか?」と話しかけるシーンや、
「暖かいお茶、ありませんか?」と触覚を通して寒さを伝えるシーン、
さらには、日蓮宗のお上人さんが、悲しみや辛さからかお経に詰まり、
お経独特のリズムが崩れるといった、聴覚で表現した悲惨さが、
視覚からもたらされる映像以上に伝わってきた。
東北の人たちは、当時のことを多く語らないけれど、
「海水に、下水やガソリンが混じって凄い臭いで・・」の台詞で、
頷く人たちも多いのではないだろうか。
実は、この表現された臭い、1つひとつは想像できるのだが、
混じった臭いが、なかなか頭の中で想像つかないのは、
私が視覚ばかりに頼っていたからに他ならない。
視覚以外に訴えた「3.11関連作品」、図書館で探してみようと。
P.S.
番組冒頭に「2016 いわて国体」と書かれた「のぼり旗」を発見。
そうか、あと3年後は「いわて国体」なんだな。
観て考えるべし。
もうすぐ2年になる。
震源地から離れているにも拘らず、あの日の地震の大きさは
おそらく一生忘れないだろう、と思うほど凄まじかった。
その後多くの人命が津波によってさらわれた事実をニュースで
知ったが、現場にいない限り、実際の被害は伝わらないだろう。
そんなニュース報道でしか知り得なかった地元の方々の真実が
フィクションでありながら正確に伝えられることには意義がある。
なので今作には物語の完成度を問うことはできない。
あの日何が起こって、それからどんなことが為されたかを知り、
各々が想い考えることが大切なのだろうと思う。
震災からしばらく経って、こちらで計画停電が行われていた頃、
とある看護師の方のブログが話題になったことがあった。
被災地に派遣され、今作のように救援活動にあたったその方の
ブログに記された内容で一番記憶に残ったのが、瓦礫をめくると
その下に何百何千もの遺体が広がっている、という記述だった。
戦後生まれの私はもちろん、そんな光景を実際に見たことはない。
それがどれほどのショックだったかが文面から伝わり、
パソコンの前で固まってしまった。計画停電如きで騒いでる自分が
あまりに情けなくて、みじめに思えるくらい恥ずかしかった。
震災が起きたのは誰のせいでもない。
自然が齎した災害を前に、どうしてこんな?ばかりが頭に渦巻く中、
身内を失っても悲しんでいる間もなく懸命に救援にあたらなければ
ならない人が大勢いたのである。
西田敏行が、普段の西田敏行だったのが演出なのかは分からないが、
ボランティアや医師、職員を含め皆黙々と疲弊しながら働いていた。
検死をする医師が休む間もないほど足りないのは一目瞭然、
次々と運ばれてくる遺体を前に懸命に床の泥除去を行う女性職員や、
遺体搬送トラックで呆然としている作業員、麻痺した行政と被災地を
行ったり来たりする職員、遺体を棺に納め火葬場稼働を待つ葬儀屋、
泣きたくても涙すら流せないほど忙しい状況の中、せめて焼香台をと
設置する日本人ならではの心配りは大したものだ。ここへと運ばれた
遺体は、手厚く安置され送り出されて、まだ幸せだったのではないか。
未だに判明していない震災被害者も数多い、遺族の心労は続いている。
劇中で、救援物資(食糧)がボランティアにはまったく振舞われないのを
見せていたが、今作で西田が演じた民生委員・相葉ですらそうだったと
いうのに驚いた。確かに助かった人間(住む家も家族も失っていない)と
いうのは分かるが、現場で指揮をとる人間にすら一つも出されないこと
には、どうなんだろうという気がしてならなかった。働く人間が倒れたら
被災地の現場はやっていけるんだろうか。家でお腹を空かせている妻に
持って帰るから、とポケットにしまった彼もリアルに描かれていたと思う。
とにかく災害から間もない状況(十日間)ということは、
何がどうなるのか、どう動くのかも分からない状況というのは見てとれる。
こんなに多くの犠牲を出した震災以降、日本の災害意識は更に高まった。
だけど日々暮らしていく中で、喉元過ぎれば…は避けられない。
毎年こうやって(思い出したくない方もいると思うけど)災害問題は風化
させることなく見せて教訓としなければならない事実だと改めて感じる。
(演技以上に辛かっただろう、俳優陣の素の表情から伝わるものを感じる)
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