遺体 明日への十日間のレビュー・感想・評価
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個々に心に刺さる場面はあるものの…
西田敏行を否定するつもりはないのですが、役「相場さん」というよりは「西田敏行さん」で。
どうも全体的に西田氏の演技ばかりが前面に出て来る感じで、今ひとつ感情移入出来ずに終わりました。
個々のエピソードは胸に来る物があり、読経のシーンなどかなりジーンと来ました。
一方で、被害者家族には感情移入出来るのですが、当時現地に行くことが出来なかった自身には、全体的によく解らない部分もあり。
当時は「ガソリンがない!」と言っていたと記憶しているのですが、連日自家用車を乗り回しているのはどうなのか…とか。多少の解説は欲しかったと思います。
大事件のあった割に、現場ではパニックという程の混乱も起きていない感じが、リアルなのかリアルではないのか、当時何も出来ずに遠方からただ祈っていた人間としては判断できません。
よくこれを映画化したなぁ…と思う半面、多少の疑問も感じた作品でした。
フジテレビをホメたい
4月10日、有楽町ヒューマントラストシネマで鑑賞。
テレビ視聴率ではかなり落ち込んでいるフジテレビ。映画興行では、海猿、踊る大捜査線などで業績を支えているという。
そのフジが製作した作品だが、これはどう考えても、大宣伝もできないし、大ヒット祈願、とハデに芸能マスコミも動員できない。
それでも、この映画は作られないといけないし、それができたのならば、見なければならない作品、と言いたい。
残念ながら、このゴールデンウィークに見られる劇場はかなり少ないけれど、未見の人は、ぜひ行ってほしい。
亀山千広プロデューサー、早くフジテレビを立て直してね。
残念な映画
西田敏行さん以外に相場さんの役をこなせる役者はいないでしょう。その意味で、文句は全くないのですが・・こんな腑抜けの根性無し、使命感の無い市職員っていますか?これは、釜石市役所職員に申し訳が無い。遺体安置所に配属されて翌日もスカートを穿いて来るバカ職員が本当にいます??
西田さん扮する初老の民生委員、相場さんはかなりリアルと思いたいのですが、脇を固めるべきキャストがお粗末過ぎました。佐藤浩市さん扮する検視医も全くダメです。名優佐藤浩市を殺してしまう演出に愕然・・。
興業収益を被災地寄付、キャストも異例の低ギャラ出演と、復興への一助にと言う志の高さで評価2.5としますが、作品としては1.5が精々の凡作です。
この映画を観て復興への手助け、と思われるなら直接、義捐金を送られる方がよろしいかと・・そんな気持ちで映画館を後にしました。
全く残念でした。
観て考えるべし。
もうすぐ2年になる。
震源地から離れているにも拘らず、あの日の地震の大きさは
おそらく一生忘れないだろう、と思うほど凄まじかった。
その後多くの人命が津波によってさらわれた事実をニュースで
知ったが、現場にいない限り、実際の被害は伝わらないだろう。
そんなニュース報道でしか知り得なかった地元の方々の真実が
フィクションでありながら正確に伝えられることには意義がある。
なので今作には物語の完成度を問うことはできない。
あの日何が起こって、それからどんなことが為されたかを知り、
各々が想い考えることが大切なのだろうと思う。
震災からしばらく経って、こちらで計画停電が行われていた頃、
とある看護師の方のブログが話題になったことがあった。
被災地に派遣され、今作のように救援活動にあたったその方の
ブログに記された内容で一番記憶に残ったのが、瓦礫をめくると
その下に何百何千もの遺体が広がっている、という記述だった。
戦後生まれの私はもちろん、そんな光景を実際に見たことはない。
それがどれほどのショックだったかが文面から伝わり、
パソコンの前で固まってしまった。計画停電如きで騒いでる自分が
あまりに情けなくて、みじめに思えるくらい恥ずかしかった。
震災が起きたのは誰のせいでもない。
自然が齎した災害を前に、どうしてこんな?ばかりが頭に渦巻く中、
身内を失っても悲しんでいる間もなく懸命に救援にあたらなければ
ならない人が大勢いたのである。
西田敏行が、普段の西田敏行だったのが演出なのかは分からないが、
ボランティアや医師、職員を含め皆黙々と疲弊しながら働いていた。
検死をする医師が休む間もないほど足りないのは一目瞭然、
次々と運ばれてくる遺体を前に懸命に床の泥除去を行う女性職員や、
遺体搬送トラックで呆然としている作業員、麻痺した行政と被災地を
行ったり来たりする職員、遺体を棺に納め火葬場稼働を待つ葬儀屋、
泣きたくても涙すら流せないほど忙しい状況の中、せめて焼香台をと
設置する日本人ならではの心配りは大したものだ。ここへと運ばれた
遺体は、手厚く安置され送り出されて、まだ幸せだったのではないか。
未だに判明していない震災被害者も数多い、遺族の心労は続いている。
劇中で、救援物資(食糧)がボランティアにはまったく振舞われないのを
見せていたが、今作で西田が演じた民生委員・相葉ですらそうだったと
いうのに驚いた。確かに助かった人間(住む家も家族も失っていない)と
いうのは分かるが、現場で指揮をとる人間にすら一つも出されないこと
には、どうなんだろうという気がしてならなかった。働く人間が倒れたら
被災地の現場はやっていけるんだろうか。家でお腹を空かせている妻に
持って帰るから、とポケットにしまった彼もリアルに描かれていたと思う。
とにかく災害から間もない状況(十日間)ということは、
何がどうなるのか、どう動くのかも分からない状況というのは見てとれる。
こんなに多くの犠牲を出した震災以降、日本の災害意識は更に高まった。
だけど日々暮らしていく中で、喉元過ぎれば…は避けられない。
毎年こうやって(思い出したくない方もいると思うけど)災害問題は風化
させることなく見せて教訓としなければならない事実だと改めて感じる。
(演技以上に辛かっただろう、俳優陣の素の表情から伝わるものを感じる)
震災の新たな一面を見られた。
被災地において遺体安置所が開設されることは
知っていた。しかし、多くが報道されないことなどから
その実態はほぼ知らなかった。
この映画を観て、少なからず遺体安置所の実態を
知ることができ、震災(災害)による死をより深く
考えさせられるきっかけになった。
岩手県釜石市の一つの遺体安置所を舞台としていたが
この映画のような状況が被災地各地で起きていたと
思うと非常につらい思いを感じる。
一人ひとりの命にそれぞれの人生があり
数百人、数千人という数では語れないことを強く印象づけた。
いっぽう
映画の構成として、若干淡々とした感じがあり
物語性はほとんどありません。
働く人の心の変化は少しありますが、
内容の薄いドキュメンタリーのような感じです。
あと、個人的な体感ですが。
カメラワークで特殊な感じがあり
座席の位置も悪かったのですが
若干気持ちが悪くなりました。
(前列はおすすめしません。いつもより後ろをおすすめします。)
他の映画とはちがう映画
君塚監督、フジテレビ制作とくれば、いつもなら、しつこいほどのテレビCMと特番の嵐。
でも、この映画は違う。いつのまにか、封切を迎えた。
興業的には、非常に不利なスタートではないか。
おそらく、テレビで放映されることもないだろう。(出来ないだろう)
体育館に横たわる数十の遺体は、御茶の間にはあまりにショッキングで、扱うテーマとしても、軽々しく「見てね!」といえるものではない。
そんな映画を、あえて、作ることができたのは、大ヒットを連発してきた、君塚監督やフジテレビだからこそなのかもしれない。
収益は、被災者に寄付すると宣言していることからも、この映画が、稼ぐためのものではないことは明らかだ。
その目的は、報道が一切取り上げられなかった、壮絶な事実を、ありのまま残すということだけ。
死者行方不明2万人弱という数字と、テレビで流される報道映像の間に、何か大きな隙間があるような気持ちがしていたが、この映画を見て、それが何かがわかった気がした。
無邪気に「がんばれ!」という言葉を被災者に掛ける前に、この事実を知った上で、少しでも、被災者の心に近づくべきだと思った。
勇気をもって、この映画にたずさわった全ての人に、拍手を送りたい。
悲しみは終わらないのか
試写会にて
震災の時は、避難所の事は、ニュースでも解っていましたが、
遺体安置所に関しては、この作品を観るまで、
正直忘れていた、というか意識がありませんでした。
西田さんに関しては、当初「笑わす」存在かと思ってましたが、
どんどん西田さんの役柄に惹かれていきました。
身元を特定する為に、検視する医師(佐藤・柳葉)たちの、
次々と、知り合いや自身の患者を診る事の辛さ、
ご遺体と向き合う家族、そして捜索をする人々。
志田未来が小さな子供の遺体が運ばれた時の叫びや
子供を助けられなかった母親、死んだ母に化粧をする娘
そして、和尚(国村さん)のお経を唱えるシーンと、
嗚咽が止まりませんでした。
なんだか、少しづつ忘れていきそうで、
この作品を観て、改めて忘れてはいけない現実だった事、
確実に戦っている人がいるという事を、認識しました。
本当に本当に、出演されたみなさん、本当によかったです。
「早く前を見て歩き出して」
という事は簡単で無責任かもしれませんが、
未だに復興も進んでいない状況や、
終わらない苦しみに苛まされている方々の事を、
少しでも理解出来れば、と思います。
ぜひ、ご鑑賞下さい。
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