「よしよし」藁の楯 わらのたて 病気の犬さんの映画レビュー(感想・評価)
よしよし
久しぶりに劇場で見たせいなのか非常に面白く観れました。
藁の楯、なんとか言う人の名言、人はなんたらかんたらにおいて、なんとかしても所詮、藁の楯であるというあれですね知ってました。
なんでも撮る監督三池御大がいつのまにか何でもできる監督に・・・
構成は前半のダイナミックな展開と後半の白熱の演技合戦と見所が多い。
映画的には順番が逆の方が良いようにも思えますが、原作ありだと仕方ないですね。
まず良いところは、ダイナミックなカットというかハッタリの効いた映像
特に序盤の永山君がパトカーに飛び乗って銃を構えるところ、『十三人の刺客』にもありましたが、一瞬の動きで覚悟を悟らせるようなシーン。
めちゃくちゃ画になっていました。永山君はリアルにいそうなやくざみたいな警官で全体的に良かった。
次に舞台装置も特に前半は良かった。高速にしても新幹線にしても順当な魅せ方で安定感がある。順番に死ねばいい。という盛り上がりやすい構成ですが、だからこそこういう丁寧さがしっかりとした土台を映画に造ると思います。
配役も良く、主演の大沢さんは、個人的には巧いのか下手なのかようわからん役者ですが、仕事に没頭することで自分をぎりぎりに保っている役柄にはピタリ。相手役の藤原君は個人的には下手なように見えて、それがいい役者。それが社会不適合の青年にピタリ。人情家伊武も映画に好影響を与えていました。
唯一マツシマオブソリマチが役を掴めていないような気がして残念。ただ、マツシマだけの責任というよりは時間的に描写が減っていて、存在感を出すだけの余裕が無かったのかもしれませんが・・・・
物語に荒はありますが、映画の大切な部分はそういうところではないと思ってますし、そもそも昔の三池監督作品なんて、ねえ。
邦画大作にこれから期待できるのかと勘違いしたくなるような作品でした。
ラストシーンの語りが冗長なのがマイナス。長い割にはカタルシスもないですし、一応終わりに持っていったというだけな感じがして残念。好きな監督ですが、ラストが良かった映画って『中国の鳥人』くらいしか思いつかない。