贖罪のレビュー・感想・評価
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インターナショナル版鑑賞(270分)
上田市上北町。何軒かの家でフランス人形が盗まれるという事件が起こっていた。転校してきたばかりの足立麻子(小泉今日子)の小学生の娘エミリ(木村葉月)が男に連れ去られ殺害される事件が発生した。同級生の仲良し4人の少女たちは、犯人を目撃するも、顔が思い出せず事件は迷宮入りする。
第1話 フランス人形
15年後の東京、目撃者の1人だった菊地紗英(蒼井)は極度に男に対して警戒心を抱き、女性だけの美容サロンで美容員として働いていた。その紗英に取引先の会社の御曹司である孝博(森山未來)とのお見合い話が舞い込んできて、最初は断るものの結婚を決意するに至る。孝博は小学校の2級上の先輩。
一度も生理になったことのない女・紗英。そんな彼女でもいいと言ってくれた、与えられたレールの上で何不自由なく過ごしてきた孝博。新居となる部屋へ招き入れられた紗英は、そこに15年前に盗まれたフランス人形があるのを目撃!そして孝博が生身の人間に興味を持てないことを告白する。「ぼくの人形になってくれ」などという求婚も異常だったが、2人は新婚生活を迎える。結婚式当日、式場に麻子が現れるが、紗英に罪を償う気持ちがあることを確認するに留まった。夫婦の営みもなく、はたから見ると異常な新婚生活。孝博が眠りにつくまで人形のように脇に立たせ、留守中には誰にも会うなと強要。それでも満足していた紗英・・・
突如生理になった紗英。女になった途端、人形ごっこの異常な生活に不満をぶちまけ、最後には夫である孝博を殺してしまう・・・そして、フラフラ彷徨う彼女の前に麻子の姿。犯人ではありませんでしたと告げるが、贖罪はどうなった?紗英に対して憐みの表情さえ見せる麻子だったが、彼女に対して幸せな生活を望んでいたことに違和感さえ覚える・・・
第2話PTA臨時総会
優等生であった篠原真紀(小池)はエミリちゃん事件で何もできなかったことに無力感を覚えるが、15年後には小学校教師となっていた。イジメ問題でも被害者の生徒にきつくあたることが父兄の反感を買ったりしていた。ある日、プールサイドでナイフを持った暴漢が現れ、果敢に暴漢に立ち向かったことが評価されたが、過剰防衛と思われるほど相手を棒で殴りつけた。剣道部での練習でも暴漢の姿が見えたせいで生徒に立ち向かうほどだった。やがて、暴力教師として生徒たちからネットの書き込みが・・・
エミリちゃんの命日に墓参している麻子と再会した真紀は、事の顛末を臨時PTA総会で釈明するから来てほしいと麻子に参加してもらう。そこでの釈明会見では15年前の事件から始まったが、結局辞意を表明した。麻子は「辞める必要ない」と慰めるが、「私に幸せになる権利はない」と固辞する。そこへ、プール事件で真っ先に逃げて立場がなくなった熱血教師の田辺(水橋研二)が現れ、真紀を殴る・・・え、それだけで真紀は死んだ??
第3話くまの兄妹
高野晶子(安藤サクラ)は自分のせいでエミリちゃんが殺されたと思い込み、劣等感を背負い込み引きこもりとなっていた。突如結婚して帰ってきた兄の幸司(加瀬亮)が結婚していて、連れ子の若葉の面倒をみることになった晶子。若葉とは徐々に打ち解けるようになっていったが、幸司の若葉に対する態度に不可解なものを感じ始めた。
ある時、幸司の住まい・・・倉庫を安く買い取り、仕事場兼住居とした荒れ果てた場所・・・に赴くと、幸司が若葉にいたずらしようとしていたように見えた晶子。過去にエミリちゃんを殺されたことがトラウマとなり、犯人のように思えて殺してしまった。これがつぐない?
警察に拘留されている晶子に面会にきた麻子。晶子の語りによる回想形式で物語が進んでゆくのだが、晶子は誰を殺したんだ?という視点で見入ってしまう。紗英や真紀に対しては優しく声をかけた麻子だったが、今回は晶子に対して冷たく当たる。エミリのためというより、自分のためじゃない?と、まぁ、まったく身勝手な晶子に怒りをぶつけるところがいい。
第4話とつきとおか
優しくしてくれた警官に憧れを抱いていた小川由佳(池脇千鶴)。15年後、フラワーショップを始めた由佳だったが、病弱だった姉の真由(伊藤歩)の結婚した相手が警察官であることを知り、嫉妬から彼女の夫・圭太(長谷川朝晴)を誘惑する。
見事妊娠した由佳。おかげで真由は自殺未遂。そして圭太を階段の上から突き落として殺してしまう。事件はうやむやのまま?麻子はそんな由佳に「幸せに・・・」と声をかける。途中、麻子から手紙が来たが、それを破り捨てた由佳。丁度、ラジオから流れてきた声にエミリ殺しの犯人の声だと直感した由佳は麻子に会い、取引しようと悪女ぶりを発揮する。それが何もないまま終わったことに不満・・・だが、なぜか他の子たちと不幸の度合いが違うことに不思議な気分にさせられた。
最終話償い
由佳の情報を元に、山梨県にある友愛フリースクールへと赴いた麻子。そこで出会ったのは大学時代の恋人・青木弘章(香川照之)だった。青木に殺されそうになるものの、彼には「あなたの知らない秘密があるの」と伝える麻子。
青木は実の娘を殺したのか?!と、簡単に読める展開だ。しかし、共通の友人であった久保田秋恵という存在が浮かび上がる。彼女は麻子の目の前で自殺したという経緯があり、彼女もまた南条(青木の旧姓)を愛していたのだ。よくある三角関係。最終話にきて謎が解けると同時に、ドロドロとした普通の作品のような結末となってしまった。青木の動機といえば、好きだった秋恵のことを中傷したりして、最後には自殺と追いやった麻子を憎むようになったこと。しかも大学時代には秋恵のことを忘れようと普通に付き合っていた2人。それが、忘れたい一心で飛び込んできた見合い話に乗ってしまった麻子により終わったかと思われていたのだ。たまたまフリースクールの物件を探していた南条が贈ったはずの指輪と秋恵の遺書を見つけてしまったことが原因。娘のエミリが友だちとともに宝物を隠していたからだった・・・
辻褄が合わない、というか、心情を想像すると、腑に落ちない点もあるのだが、強烈な贖罪ドラマであることには違いない。最後には青木も自殺するし・・・
酷すぎる
・各章で 過去のエミリちゃん事件のシーンが少なすぎて、人物が事件をちゃんと振り返って反省してるように見えない
・くまの兄弟 では、晶子が原作と違い ただエミリのことを言い訳に人を殺した精神障害者、兄もただのロリコンとしか描かれていなくて 同情の余地がかけらもない
・だからかエミリ母も、やたら晶子につめたい
・PTA臨時総会 はまさかの真紀が死んでしまったし、原作の エミリちゃんを守れなかった代わりに、不審者を倒して 子供を守ろうとした真紀の気持ちが全然描かれてない
罪と償いと哀しみ
元は湊かなえの小説を映像化したWOWOWドラマ。評判の良さから再編集して劇場公開され、海外の映画祭にも出品された。
少女が男に連れ去られ殺された。その場に居た友達4人が犯人の顔を見ていたのにも関わらず、一向に捕まらない。
失意に暮れる少女の母・麻子の憎しみはやがて4人に向けられ、犯人を見つけるか、それ相応の償いをするよう迫る。
15年後、トラウマを背負ったまま成長した4人の前に、麻子が現れる…。
犯人探しより、登場人物たちの辿る数奇な運命に重点が置かれている。
事件の目撃者である4人…紗英、真紀、晶子、由佳。
紗英は事件以来、男性に対して不信感を抱いていた。そんな時、好青年と出会い、結婚するが…。
事件の時に何も出来なかった事に胸を痛める真紀は厳格な小学校教師に。ある時、学校に不審者が現れ…。
事件以降、劣等感を抱える晶子は実家に引きこもり。兄の自分の娘への不可解な言動に…。
由佳は事件の時に親切にしてくれた警官に憧れを抱いていた。姉が警官と結婚した事を知り…。
4人の償い。
その代償としての4人が辿った運命は哀れ過ぎる。
狂わされた4人の運命は本当に償いに値するのか。
4人にそんなトラウマを与えた麻子は残酷だ。
しかし、運命が狂ったのは4人だけではなく、麻子も。
15年後、遂に犯人の手掛かりが。犯人には、麻子のある過去が関与していた。
その過去は麻子にとって罪深いもの。
過去の罪が今の悲劇へ。
最も重い罪の代償を背負ったのは麻子自身なのが哀しい運命。
罪は代償を求める。
代償は哀しみを招く。
哀しみは連鎖し、更なる哀しみへと繋がっていく…。
監督は黒沢清。丹念な描写が光る。
小泉今日子、蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴、森山未來、加瀬亮、香川照之ら豪華アンサンブルが素晴らしい。
豪華すぎる俳優陣!
WOWOWの映画としては豪華すぎる映画です。
これだけの俳優を揃え、しかも湊かなえ作品なのに劇場公開しないのが不思議ですが、内容が重すぎる(子供への性的虐待を匂わせる)からかな?
他の映画でもそうでしたが小泉今日子は狂気を感じさせる役をやらせると本当に上手いし怖さがハンパないです。
同じく狂気を感じさせる演技では右に出るものがいない香川照之も出てきて
その二人だけでもおなかいっぱいだというのに、加瀬亮、安藤サクラまで出しちゃって、しかも脇役に新井浩文まで…映画好きにはヤバすぎる映画です。
ストーリーは「結局自分が悪いんじゃん!因果応報でしょ!この4人の子供たちに謝れよ!」と思った結末でした。
個人的には小池栄子が演じた真紀がもっとも「贖罪」という言葉に縛り付けられていたような気がしました。
真紀は顔を殴られて倒れたあと死んだの?まさかあれくらいで死なないよね?
ちょっと気になった最後でした。原作読んでみようっと。
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