舟を編むのレビュー・感想・評価
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成すとは何か、を感じる映画
この映画、原作は知っていたが、読まずに観た映画。確か、TVドラマでもやってたような気がするけどTVは見ないので知らなかった。
で、ふと新宿で映画館に入ったんだが、濃密な時の流れを感じる映画で驚いた記憶がある。脚本も演者も演出も素晴らしい、カメラもすごかった。加藤剛の振る舞い、八千草薫、小林薫、渡辺美佐子の演技力に、新人だった?黒木 華の表情や演技力の切れ。オダギリジョーは前から上手かったが、主演の松田龍平は天才だと思った。又、大学生のバイトを雇って、最後の詰めを行っている最中のトラブルとその対処のところは、技術系のサラリーマンだった自分でも、若い頃のプロジェクトの最終版によくある風景で、身につまされた。
この映画、後年、リバイバル上映があった記憶がある。
とても長い時間がすっと通り過ぎる
みんなまじめな人たち
ゆっくりとした暖かさがあった
松田龍平の良さを広く知らしめたのはこの作品かもしれない
その昔、ドラマは弟、映画は兄。兄はあまりメディアに登場しないが非常に良い役者だ、と言われていた時期があった。
今じゃちょっと信じられない気がするかもしれないけれど。
今ではもう良い作品には欠かせない程の役者さんで、出てれば見ようかなとすら思う。
NHKのBSでのドラマはこの映画の後半部分を掘り下げたものだった。
ドラマの馬締さんには既に香具矢さんという奥さんがいて、彼の一風変わった恋の物語は割愛されていた。
チャラ系の役割のオダギリジョーの役が向井理になりチャラいというより宣伝部で適材適所を発揮していた。
松田龍平はラドウィンプスの野田洋次郎 宮崎あおいはミムラ 黒木華は池田エライザ 加藤剛が柴田恭平 小林薫は岩松了に、それぞれキャスト変更されていた。
野田洋次郎は多分かなり松田龍平を踏襲していて、声などはそっくりに聞こえる程だった。
もちろんドラマ版の出来は素晴らしく、池田エライザ演じる新部員みどりの働きの目覚ましさを描くものになっていて、映画では見られなかった小さな(失礼)エピソードもじっくり見せてくれていた。
キャストの重厚さ知名度は映画に及ぶものではなかったと言えるのかもしれないが 脚本と構成と新キャストの魅力もまたそれを補ってもいた。
昔 映画版をサブスクで見た時より ドラマをリアルタイムで視聴し終えての再度の鑑賞が 深みを増したのは言うまでもなかった。
広辞苑や広辞林 こういう中型辞書を編纂するという事はその出版社の底力を世に知らしめる事である。
ゴシップ記事で部数を爆発的に稼ぐ週刊誌 婦人誌、漫画 児童書、それらで経営を上昇させつつも 数十年単位で利益には繋がらない辞書編纂を行うということは たぶん 出版社の矜持なんだろうと想像する。
もちろん私も頻繁に使用する携帯での検索は リアルタイムで調べられて絵も写真も 更に動画さえ見せてくれる時代である。
学校の持ち物として推奨していた電子辞書ですら最近ではとんと見かけない。
とは言え ネット社会において 文字文化は更に加速し、特に日本語の漢字変換や送り仮名はきちんと初等教育において学ぶものとしてその位置を揺らぎ無いものになっている。
AIが非常に流暢で優秀な英文を作成してくれるのに、日本語になると例えば動画の字幕はめちゃくちゃな誤字を提示してきたり。
ネット社会は逆に日本語を衰退どころか向上させている感すらある。
文章力は 今後もとても重要なファクターである事は痛感される。
だが 紙のぬめり感
そういうものを感じられない時代になるのは 心の底から寂しいと思う昭和の人間である。
「言葉」という舟を編む
この映画を観て国語辞典を買ってしまった
読み取る力がアップしていた
やっぱり素晴らしい
良い
がっつりと辞書編纂に取り組む
NHK で連続ドラマ化されたこと、映画公開されて10周年を記念して最上映されたので観てきました
墨田区菊川にあるミニシアターstrangerで観てきました。
原作は忘れてしまいましたが、大渡海と言う辞書を作り上げる編集者の奮闘物語ですが、映画では編集長の馬締(まじめ)の辞書部異動や奥さんとなる香具矢との出会いも描かれています。
ドラマでは辞書編纂途中から参加した、みどりの視点で作られています。映画も面白かったのですが、ドラマも面白いのでお薦めします。
舟を編むは大きな劇場ではやっておらず、墨田区菊川のstrangerと言うミニシアターで観ました。ミニシアターはかつては多くありましたが、最近は殆んどみかけなくなりましたね。
言葉の灯台守たちの、知られざる難事業
三浦しおん原作、同名小説の実写化。
【ストーリー】
中堅出版社玄武書房の営業部に勤める馬締(松田龍平)は、辞書編集部の荒木に自分の後継者として引きぬかれ、部署異動する。
荒木は国語学者の松本教授と共に、『大渡海』という辞書編集作業に長い時間を費やしていたが、定年が近づき、妻の介護のためにもその職を離れざるをえなかった。
あまりに膨大な作業を前にしり込みする馬締だが、下宿の大家さんの孫・林香具矢(宮崎あおい)に恋し、友人・西岡(オダギリジョー)にしたためた恋文の感想を聞いたりするうち、言葉の意味について深く考えるようになる。
香具矢との恋が実り、荒木の後釜として主任に昇格する馬締。
毎日飽きずに言葉の編纂に没頭する馬締だったが、コストばかりかさむ『大渡海』計画は、金食い虫として玄武書房上層部で中止の声があがっていた。
辞書編纂という超地味なのにめちゃくちゃ手間のかかる事業にたずさわる、言葉へのこだわりにあふれた骨太お仕事ストーリー。
これが女性向けファッション雑誌に連載されていたというのだから驚きです。
三浦しおんだからと言って、なんでもおしゃれだと思うなよ。
と勝手にオタク仲間認定していた自分は思うのです。
が、この映画がまた地味な出来。
それでも退屈しないのは、演出とフィルム編集の力でしょう。
俳優さんもよかったなあ、宮崎あおいさんを始めて意識して見たかも。大変お美しい方でした。
テレビアニメ版が面白かったから見てみましたが、こちらも傑作でした。
君はなんでもアニメだな。
ここからは閑話休題。
アニメ版の香具矢は声・坂本真綾さんなんですけど、若いころに日本ヴォーグ社刊行の『ゆかた本』という雑誌にモデルとして掲載されておりました。
所用で購入したその本を、数年後見直したらまあ驚き、かの坂本真綾でございましたのざますよ皆さん。
その本の刊行が1998年、当時はまだ誰もが知るような役はありませんでしたが、あれから四半世紀、その後の活躍は皆さんもご存じのとおり、今や押しも押されもせぬ大声優さんですよ。
原作同様、ファッション雑誌つながりということで、ここでその話をしているわけです。ああすっきりした。
こんな駄文ですら、つらねるのに言葉の意味を調べなければならない自分のような暗愚盆暗にとって、遠くでぼんやり光る灯台のごとく、海にこぎ出す道標ともなってくれる辞書。
誰にでもわかるように言葉の意味を限定するという、顧みられることの少ない地道な作業。
いわば言語文化のインフラ整備。
その仕事にたずさわる方々に敬意を表しつつ、このレビューを終えたいと思います。
ありがとうございます。
これからもお世話になります。
完成された名作、でも人を選ぶみたい
言葉を次世代に繋いでいく美しさ 無限に言葉が増え、そして消え行く時...
辞典編纂というマニアック感が小気味よい
本作を徹底したマニアック作と判断できるのは実際の編纂作業に携わった者のみだろうけれど、素人目線ではかなり本腰入れて辞典編纂の過程を見させてくれた作品と感じましたね。
キャストも外れていると感じた人はなく、主演:松田龍平ははまり役だったと思います。
そして大ベテラン加藤剛さんが映画内でも引き締め役の重鎮として見事な存在感を見せてくれました。
オダギリジョーもフニャフニャお調子者の先輩役としてはまってましたね。彼はシリアスすぎる演技は苦しく感じる場合が多いけれど、本作や時効警察のような不定形でつかみどころがないような役をあてがわれると生きてくる印象ありますね。
ただ、ヒロイン宮崎あおいが後半存在感が薄れてしまいましたが、そこはちょっと引っ掛かった点ではありますね。
しかし、まさか本当に辞典完成までの15年のスパンを描くとは思わなかったので、いきなり13年のタイムワープをした時はちょっと驚き。
松田と宮崎がその間夫婦になって子供がいないのは不自然というか淋しいと感じた部分はあるけれど、それだけ辞典編纂パートに重きを置いていたことの表れと取ることで自己納得。
原作では別の描かれ方をしているのかもしれないので、興味ある人は補足として読むといいかも。私は読まないけれど笑
総じてそこそこ楽しめました。総評3.5の三ツ星
大人のトラ猫が随分大人しくいいマスコット役になっていたが、やはりプロの猫なんだろうねと妙に感心。
2010--
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