舟を編むのレビュー・感想・評価
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新しい辞書を作るお話。どんでん返しや伏線回収はありませんが、静かな...
新しい辞書を作るお話。どんでん返しや伏線回収はありませんが、静かな空気感が最高に心地良い映画でした。オダギリジョーがめちゃくちゃ良い。久しぶりに辞書を見たくなりました。
右という言葉をどう説明するか
仕事に向き合う人々の姿に心が打たれました
辞書を作る人々とその周りの人々の熱さや暖かさに胸が打たれました。言葉で伝えられること、言葉以外で伝えられること、伝え方には様々な手段がありますが、大切な人々に想いを伝えたくなる愛溢れる映画でした。仕事に対する姿勢もすごく素敵だなと思いました。原作の三浦しをんさんも石井監督もすごい。本でも読んでみようと思います。
辞書というもの
テーマがいい。辞書の大切さが分かった。どうやって作ってるかなんて考えもしなかった。用例採集とか、校閲とか、紙質とか、表紙とか、当たり前だけど作ってるひとがいるわけで。でもよく読むと面白かったりするんだよな。右、の解説はなるほどと思わず唸ってしまった。適材適所ってこういうことだな、と。黒木華にはもう少し辞書作りに向いてる感を出して欲しかったけど。
辞書の埃を払う。
「真面目」「どんくさい」
そんな言葉で埋もれていたかもしれない、馬締の静かで熱い才能。
辞書作りという地味で果てしない作業は、決して単純作業ではない。
「いかに簡潔かつ明瞭に言葉の意味を表すことができるか」
それには絶対的センスが必要不可欠。
ヒラメキのない、いわゆる平凡な人間に出来るような、無難な仕事ではない。
そのことにすら気がつかない凡人に、時に馬締のような人間がバカにされてしまうのは
この世の中、仕方のないことなのかもしれない。
これまで馬締にとって言葉とは、自己解釈・インプットのためのツールでしかなかった。
しかし辞書制作部の温かい人々との出会いを通して、
積極的に他者との交流・アウトプットのために言葉を使うように変化した。
馬締の才能を引き出しながら、馬締に心地よい変化をもたらすことのできるあのチームは、最高のメンバーだ。
人にはそれぞれ適材適所がある。
他者の得意・不得意を理解し、自分の得意・不得意を認めること。
互いの得意なことを尊重し合い、不得意な部分を補い合うこと。
世の中の全ての人が素直にそうすることが出来れば。
人々はそれぞれ心地良く呼吸し、伸び伸びと内なる才能を発揮することが出来るのだろう。
紙辞書は重く分厚く持ち運びに適さず、時代の流れに伴い今後ますます衰退の一途を辿っていくだろう。
私自身、もう何年も紙辞書に触れていないことに気がつく。
スマートフォンで簡単に調べられるようになったこのご時世。
この作品を観た後も紙辞書を愛用することはないのだろう。
紙辞書がこの世からなくなったとしても正直困らない。
しかし鑑賞後、なんとなく本棚から辞書を探し、埃を払い、ひどく久しぶりに手に取ってみる。
ほんとだ。
紙が手に吸い付き軽やかにページをめくることが出来る。
そんなこと、今まで気にとめたこともなかった。
出版社の辞書編集部を舞台に、新しい辞書づくりに取り組む人々の姿を描...
出版社の辞書編集部を舞台に、新しい辞書づくりに取り組む人々の姿を描き、2012年本屋大賞で第1位を獲得した三浦しをんの同名小説を映画化。
【”気真面目に、仕事をする事の大切さ。”本好きには堪らない、辞書が出来るまでの累々として丁寧に仕事をする過程を丁寧に描く秀作。辞書編集部の美術の素晴らしさにも垂涎した作品である。】
・今作は、勿論、辞書「大渡海」を編纂する編集部の面々の素晴らしさが物語を支えている。
・馬締演じる松田龍平始め、監修松本演じる加藤剛(お元気そうな姿が胸を突く・・。)、編集者・西岡(オダギリジョーが珍しく楽し気に演じている。)、そして宮崎あおい演じる不思議な美女、林香具矢。
・この映画はストーリーも面白いし、各々のキャラクター設定も秀逸で、三浦しをんさんの原作の魅力を更に増して映像化した石井裕也監督の辣腕に感服した作品である。
<2013年4月20日 劇場にて鑑賞>
<この映画のパンフレット(128頁あります。)はとても良い出来で、今でも時折読み返します・・。>
松田はマジメが鉄板
地味な内容でしたが、面白い内容でした。
企画から発売まで20年はかかる国語辞典の裏舞台を、
馬締光也(松田)を中心に大河ドラマのように仕上がってました。
馬締は「大学院で言語学専攻」で、
最初営業に配属って、どう見ても配置ミス。
辞書を作るために生まれた男、にしか見えないのは、
若干ファンタジー。
ラブレターの件も、時代を逆行したファンタジー。
かなり笑ったけど。(戦国武将かよ!のトコね)
登場人物が少ない分、それぞれの個性が際立っており、
初めは辞書製作にネガティブな面々も、
西岡(オダギリ)が次第に馬締に協力的になったり、
岸辺(黒木)も段段辞書製作にハマっていくのが楽しい。
あと、やっぱり宮崎あおいは別格。
彼女は料理作る役が多い気がするが、実際も料理上手そう。
まっすぐに進む強さ
何で観たのだったろうか。
正確に話せなくて申し訳ないが、この映画はよかった。
静かな映画だが、まっすぐに進む強さが、押し付けがましくなく感じられる。
松田さん、宮崎さん、見事。
原作の三浦さんも、それを絵にした石井監督も、皆すごい。
いい映画に出逢ったなぁ
辞書
本を読まない人がいても、辞書を読んだ事の
ない人は皆無だろう。
その辞書がどのようにして作られるのか。
それを分かれと押し付ける映画にしていない
巧妙さ。
どんでん返しや、突拍子もない事が起きる訳でも
なく、ただ粛々と「馬締」と言う主人公が
辞書作りに勤しむ。
その垣間に縁遠いと思う恋が生まれる。
キャストについて。
先生役の加藤剛さん。実に渋い。
大岡越前守のイメージしかない私にとって
唸るしかない。
宮﨑あおいさん。
こういう雰囲気の映画に出たら右に出る
女優はいないでしょうね〜
裏を返せば、こういう作風によく出演してる。
そういう印象が根付いてるんでしょう。
語り尽くせない、これぞ映画って言う映画でした😊
チャラ男を演ずるオダギリジョーも良かったし、いまどき娘の黒木華も良かった
地味な内容をよくぞここまで映画として完成させたもんだ。半年間映画生活から離れていて、久しぶりに見た作品。
知的作業の積み重ね。そんな内容の映画は数多くはない。辞書の編纂には20数年かかる作業が待っている。用例収集という地道な日々の作業、他社との用語比較、最後には第五校正など・・・選んだ仕事の時間という点では、他にもあるわけだが、机上の仕事でここまで描けるものはなかなかないのです。
馬締(松田)が下宿屋のおばさんの孫娘・かぐや(宮崎)に恋をして悩み、やがて恋文にて気持ちを伝えるシーンなどは精神的に盛り上がる部分ではあるが、それが結婚に至る過程やその他、そのおばさんの死去や、編集部の松本(加藤剛)が出版間近に死去するなんてところもあっさりカットしてある潔さも全体的に爽やかに感じさせる。主人公の一生を描くのではなく、辞書が世に出るまでを描いているかのように・・・
言葉の魅力に気づく
斬新な物は何がいいのか簡単に説明出来るけれど、一見地味な物は良さを伝えるのが、とても難しいと思っています。
これはまさに後者なので、何と伝えればいいのか分からない。自分に語彙力がないのが悲しいです。
一言で表すなら、「ひとつひとつの過程をきちんと丁寧に作ってあるから」なのかな。まさに、この辞典の「大渡海」みたいに。
細かい所まで、きちんと本物を作っているから「あれ?」と思う所なく、入り込んでいけるんだと思います。
辞書がテーマなだけあって、言葉選びがきれいだと思いました。名台詞と言う訳ではなく、観客がすとんと納得出来るシンプルな言葉選びが上手でした。
編集部員も松田龍平とオダギリジョー始め、ちゃんと生きて愛される役を見事に演じてました。
辞書が10年以上もかかることや、あんなに大変な作業を経て出来る事を知りませんでした。
知っていたら、私のこのレビューも何か伝えれるものになっていたと思います。
この感情を言葉にする力がなくて悲しい。今までもそう思って来た事はありますが、どうしたらいいかその手段が分かりませんでした。
これからは、辞書を片手に一歩ずつ理解を深める人生を過ごしたいと思いました。
辞書と人生
辞書がどのように作られているのかが、単純に勉強になった。
松田龍平の演技
周囲よりコミュニケーション障害と捉えられていた環境から、辞書編集部では能力 個性と認められ、受け入れられることで、主人公自身も努力しのめり込んでいく様子が客観的にとても分かりやすかった。
自分に合った環境にいることで、自分らしさを発揮できる。好きなことにのめり込むパワーが、良い影響をもたらし、チームワークになっていくところも清々しかった。机の上でも泥くささがあった。
そして、パートナーの信頼関係 絆も映像から受け取ることができ、心が温まりました。
しみじみと
辞書を作るということ。長い間、それに関わる人たちの、熱く静かな物語。それぞれの役者さんの味わいが、心に沁み渡る。
そして、夫婦っていいなって。
若い夫婦。年を重ねた夫婦。
八千草薫さんの品の良い演技。
最後に物語を引き締めている。
しみじみとした、良い映画でした。
配偶者の支えを諭す映画でもある。
『舟を編む』(2013)
西岡(オダギリジョー)と三好(池脇千鶴)が同棲しながら、それぞれが別の人とデートだという会話のシーンは、自由恋愛というトリックの、乱交的な嫌な一部の社会背景かと思わせたが、「ダサい」ながらも、西岡はちょっとの缶ビールで泣きながら三好にプロポーズする。主人公の馬締(発音がマジメ、真面目な人である。松田龍平)とヒロインの香具矢(宮崎あおい)にしても、二組の男女がやがて結婚するという人生の堅実性が背景にある作品だと思う。13年も賭けてた大きな辞書の編纂という仕事が屋台骨だが、そうした大きな事業が為されるためには、最初に、ベテラン編集者の荒木(小林薫)が妻の介護のために退職したいと届け願うところからである。ここにも夫婦愛があり、先月亡くなられた加藤剛演ずる監修者の松本が13年もの編纂の、出版間際に死んでしまうところから、八千草薫演ずる妻との家庭での佇まいもあり、幾組もの人生を、一つ事に継続した人間に、しっかりとしたパートナーがあるというのが夫婦愛の物語でもあり、長い時間を経ていく人生の、辞書作りという大きな事業の、一人を一つを大事にするという、現在の日本で揺らいでしまっているところに問いかけるような作品に仕上がったと思う。東日本大震災から2年、余韻も今よりも強かった時期でもある。企業といううまく売り上げから儲けを得なければならない社会の仕組みの中で、不器用な人は大変なのだが、それでも適材適所があり、ポジションがあるという希望の作品でもある。そして良いパートナーが一人現れるのである。年月の経過からの恩師の死というような場面もある。馬締によくしてくれた大宅さんも途中で亡くなるが、パートナーはその孫との出会いからであった。西岡と馬締の先輩後輩の友情もあるし、利益管理も厳しい管理職役の村越(鶴見辰吾)の厳しさと優しさもあるし、企業ドラマとしてもしっかりしている。後から入社してくる岸辺(黒木華)のようないまどきの女性にしても、仕事をしている間に根がしっかりしてくる。真面目で不器用な人が一つ事を継続することで、人生の歴史、周囲との関わりを見せてくれる作品である。この年の日本映画の代表作と言われるのももっともかも知れない。それだけ揺らいでしまっていることが多いのである。人との交流も多く、芸術家気質の人達だからか、異性関係も複雑になってしまう人が多い業界かも知れないし、日本という社会がそういう緩さにあるのかも知れないが、そういう中でも加藤剛という俳優は、調べると、酒もタバコもギャンブルもしない人だったということで、おそらく奥さんと子供たちを大事にして、この作品の馬締を実際にやっていたような人だったのかも知れない。それでも演技では、栗原小巻と『忍ぶ川』で濃厚なラブシーンを演じていたりもする。多く分析しようとすると矛盾を抱えたような複雑な人生もあってしまうのかも知れないとしても、この映画の登場人物たちは、器用で交際的な西岡にしても、プロポーズは硬派そのものの不器用さだったりと、いぶし銀な渋い、そして暖かい話だった。(この映画の監督が離婚してしまっているようなところまで加えると気持ちは落ちてしまう面もあるものの、)だから変にキスシーンやベッドシーンもない。それでいて、男女の愛情を十分に見せてくれる。映画としてはこういう映画の作り方が良いのだと思う。
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