「たまには辞書も使わなければ。。。」舟を編む コータローさんの映画レビュー(感想・評価)
たまには辞書も使わなければ。。。
原作が本屋大賞を取った当時、どなたか忘れましたが激推しされていて気にはなっていたものの、小説読むのは苦手で躊躇していたら映画化されたのでそちらを観ようと思いつつそのままになっていました。
大好きな女優池田エライザさん主演NHKドラマ地上波放映で映画版を思い出し、ドラマを全録画してイッキ見する前に観ておこうとようやく鑑賞。
主人公が馬締(まじめ)ってふざけたネーミングだなと思ってたら、気になる女性は香具矢(かぐや)。最初ちょっと舐めてかかりましたが、なかなか深いお話です。
言葉の大海を渡る辞書という舟、だから『舟を編む』なるほど!
まだスマホも無い時代、いちいち辞書を引く作業、めんどくさくて不便で苦手でしたが、まさにこの「舟を編む」という膨大な時間と労力、紙の質にまで拘って作られていることを知るとそんなこと言ってられなくなります。
設定が30年も前なのでPCのモニターがブラウン管だったり、PHSやimidasなど懐かしいものがいっぱい出てきますし、シブい加藤剛さんや歳を重ねても美しく上品な八千草薫さんなど脇を固める俳優さんがレジェンド過ぎて豪華ですし、タケおばあちゃんや辞書編集部の佐々木さんや岸辺さんがめっちゃええ味出してます。
タケおばあちゃんの「他人はわからないから興味を持つ。喋らなきゃ。」からの『恋』の語釈、まさにまさにって感じです。
そして馬締役の松田龍平さん、親子だから当然ですけど親父さんに似てきてますね。特に異常なほど長くてキレイな指、優作さんそのものです。
12年後、発売発表時のオダギリジョーさんのうしろに貼られた「大渡海」のポスターが麻生久美子さんていう『時効警察』ファンにはたまらない光景は偶然かも知れませんがちょっとうれしい感じです。
わからないことを調べるのにスマホの便利さに日々助けられていますが、本作を観て就職が決まった時お祝いとして当時付き合っていた社会人の彼女が電子辞書をくれたこととか、卒業に時間が掛かったお詫びとお礼としてその頃改訂したばかりだった広辞苑を両親に贈ったらすごく喜んでくれたこととか、忘れていた思い出が急に思い出されて切ないというかエモい気持ちになりました。