「言葉の灯台守たちの、知られざる難事業」舟を編む かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉の灯台守たちの、知られざる難事業
三浦しおん原作、同名小説の実写化。
【ストーリー】
中堅出版社玄武書房の営業部に勤める馬締(松田龍平)は、辞書編集部の荒木に自分の後継者として引きぬかれ、部署異動する。
荒木は国語学者の松本教授と共に、『大渡海』という辞書編集作業に長い時間を費やしていたが、定年が近づき、妻の介護のためにもその職を離れざるをえなかった。
あまりに膨大な作業を前にしり込みする馬締だが、下宿の大家さんの孫・林香具矢(宮崎あおい)に恋し、友人・西岡(オダギリジョー)にしたためた恋文の感想を聞いたりするうち、言葉の意味について深く考えるようになる。
香具矢との恋が実り、荒木の後釜として主任に昇格する馬締。
毎日飽きずに言葉の編纂に没頭する馬締だったが、コストばかりかさむ『大渡海』計画は、金食い虫として玄武書房上層部で中止の声があがっていた。
辞書編纂という超地味なのにめちゃくちゃ手間のかかる事業にたずさわる、言葉へのこだわりにあふれた骨太お仕事ストーリー。
これが女性向けファッション雑誌に連載されていたというのだから驚きです。
三浦しおんだからと言って、なんでもおしゃれだと思うなよ。
と勝手にオタク仲間認定していた自分は思うのです。
が、この映画がまた地味な出来。
それでも退屈しないのは、演出とフィルム編集の力でしょう。
俳優さんもよかったなあ、宮崎あおいさんを始めて意識して見たかも。大変お美しい方でした。
テレビアニメ版が面白かったから見てみましたが、こちらも傑作でした。
君はなんでもアニメだな。
ここからは閑話休題。
アニメ版の香具矢は声・坂本真綾さんなんですけど、若いころに日本ヴォーグ社刊行の『ゆかた本』という雑誌にモデルとして掲載されておりました。
所用で購入したその本を、数年後見直したらまあ驚き、かの坂本真綾でございましたのざますよ皆さん。
その本の刊行が1998年、当時はまだ誰もが知るような役はありませんでしたが、あれから四半世紀、その後の活躍は皆さんもご存じのとおり、今や押しも押されもせぬ大声優さんですよ。
原作同様、ファッション雑誌つながりということで、ここでその話をしているわけです。ああすっきりした。
こんな駄文ですら、つらねるのに言葉の意味を調べなければならない自分のような暗愚盆暗にとって、遠くでぼんやり光る灯台のごとく、海にこぎ出す道標ともなってくれる辞書。
誰にでもわかるように言葉の意味を限定するという、顧みられることの少ない地道な作業。
いわば言語文化のインフラ整備。
その仕事にたずさわる方々に敬意を表しつつ、このレビューを終えたいと思います。
ありがとうございます。
これからもお世話になります。
突然のコメント失礼します
>これが女性向けファッション雑誌に連載されていたというのだから驚きです。
そうなんですよ!
わたしも『舟を編む/三浦しをん』という小説があることは知っていました
書店で平積みにされてるのも見ました
でも、「女性向けファッション誌で連載されていた」と聞いて、
「俺が見ても良さがわかない映画なんだろうな」と決めつけていたのです
『人付き合いが苦手な男が、地味な仕事に取り組む』
という小説が女性読者に高く評価されていたなんて
嬉しいことです
失礼しました
コメント・共感ありがとうございます。
とても大好きな映画です。
馬締(まじめ)とか、香具矢と名前も凝って素敵ですね。
松田龍平の映画で一番似合っていますね。
NHKでドラマ化だそうですね。
見てませんけれど、まじめ君は野田洋次郎さんです。
2月28からって本当かな?
ちょっと見てみますね。