「都合の良いファンタジー」舟を編む いもりりさんの映画レビュー(感想・評価)
都合の良いファンタジー
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ネット全盛の時代に「紙の新作辞書」の需要があるのだろうか。
今を知るために、十数年をかけて紙の辞書を作るという矛盾。
しかし主人公は、そういう悩ましい仕事に一切の疑問も持たず人生を捧げる。
しかも、それでいて主人公は給料も住処も安泰で、人生ノーリスク。
そのうえ素敵な女性が目の前に突然現れて妻になってくれるし、
妻は料理人だから毎日おいしい手料理を作ってくれるし、
友達も上司もみんな暖かい。悩みらしい悩みもない。
要は、斜陽産業を題材にしているのに、
斜陽産業従事者が抱える多くのマイナス面がないものとして無視されているし、
要領のよくない人間が、ただ盲目的にしたいことをしているだけで
全ての結果がついてくるという都合の良い内容になっている。
しかし世の中そんなに甘くはないわけで。
現実逃避的なファンタジー映画だなと感じてしまった。
個人的には趣味ではなかったけど
気楽な気持ちで幸せに浸りたい時にはよい映画なのかもしれない。
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