「運命は 待っているだけなの?」最終目的地 kakerikoさんの映画レビュー(感想・評価)
運命は 待っているだけなの?
自分に起こることは自分が自分であるがゆえに、人はその状況からなかなか逃れられない。
だが、本当にそうなのだろうか?
もし何かを変えようと決心したら?
何もせず、ただ苦しめと?
主人公は意識のない境界をさまよっている間に気づいてしまったのです。自分の感じる人を。欲する場所を。。
彼だけでなく、彼が踏み入ったそのコミュニティで、沈滞していた人達も皆、少しずつ、自分の心に耳を傾け、本当に求めているものの形に気づいてしまうのです。
水は逆らわない方向へ 少しづつ、流れ出していく。
「これ以上、何も望まない」ところまで。
『日の名残り』『眺めのいい部屋』等のジェームズ・アイヴォリー監督の最新作ということで上映中から気になっていました。ただし、制作は2009年度。
観終わった後は、しっとりしたギター音色と美しい遠景の数々、そこに繰り広げられる、上質の役者たちによる抑え目な演技に魅了されます。
個性的な登場人物の、それぞれの心の揺れが確信に変わり、収まるところ「最終目的地」にたどり着くまでを、それは静かに堪能することができる作品です。
味わう愉しみを用意して待っていてくれる、そんな文芸作品。
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