劇場公開日 2012年10月6日

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「ホルヘ・ドレクスレルの音楽」最終目的地 jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ホルヘ・ドレクスレルの音楽

2018年9月23日
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まったり過ごしたい夜に ぼんやりお酒片手に 見るのに向いている映画

一人の青年が 自殺した作家の伝記を書くために、ウルグアイの彼の遺族の邸宅を 訪れるたことから 起きる波紋の物語

結局、現地人達とは 親密な交わりはなく 彼らだけで固まることになるから、中心人物のいなくなったことで 心の寄り処はない
ただ、なんとなく 固まっていただけ…

脚本家が女性のせいか、妻と愛人、愛人と青年の恋人、妻と青年の恋人、間のやり取りを 面白く感じた
作家の兄アダムと恋人ピートの関係は 何とも思わないが、ホプキンスと真田の組み合わせに ?
アイヴォリーのたっての希望だったらしいが、真田は 何故か、ウルグアイの風土にも合っていない
(ノーブル過ぎるのか?)

ウルグアイの土地に 馴染める者とそうでない者、愛を優先する者とそうでない者、青年の訪問で 価値観の取捨選択が始まり 各々が最終目的地に向かう
人生は 離合集散 なのだ… と、まったり考える
スペインのオペラハウスで 再会したキャロライン(妻)とディアドラ(青年の元恋人)は 呉越同舟の二人か…

死んだ作家の妻 キャロラインを演じる、ローラ・リニーが 複雑で魅力的な、そして田舎では酸欠状態になってしまう(文化的刺激が無いと、駄目)女性を好演している
お洒落の方向も 都会を向いている(笑)
ちなみに 愛人と言い争う場面で 着用しているのは、日本の半纏(印半纏)!
あまりに 自然に、お洒落に着こなしているので 思わず見過ごしてしまうほど…

それぞれが 新たな道を進む時、お互いを思いやり始めるのがいい
「作家」と「その伝記を書く行為」によってもたらされた時間と経験が、共通の思い出に変わり、優しい気持ちになるからだ
(ある意味 同士になった、とも言える)
一見、木偶の坊に思える青年の行動が 時計の針を動かし始める運命の妙味と、俳優達の見せる アンサンブルが気持ちよい

ゆったりと、ウルグアイの景色を背景に流れる ホルヘ・ドレクスレルの音楽に メロメロです

jarinkochie