高地戦のレビュー・感想・評価
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なぜ、死ななければならないのか
随分と時間が経ってから、ようやくこの作品を観た。 図書館で借りた『韓国映画から見る、激動の韓国近現代史』という本に紹介されていたのが、鑑賞のきっかけだ。
劇中に登場する女性スナイパーの存在は、かつての名作『シュリ』を彷彿とさせる。それもそのはず、脚本を手掛けたのは『JSA』の原作者として知られるパク・サンヨンであることからも、その時代(のテーマ)を受け継いでいると言えるかもしれない。
物語は史実に基づいたフィクションだが、停戦合意から発効までの「空白の12時間」に起きた戦闘の悲哀が、残酷なまでに描き出されている。歴史映画としての完成度は凄まじく、韓国映画特有の激しい戦闘描写は、他の朝鮮戦争作品と比較しても群を抜いたレベルにある。
この作品の特筆すべき点は、南北兵士の間に通う、戦争を介した奇妙な「連帯感」だろう。それは、土の中に埋められた「土産物」という装置を通して描かれる。同じ民族同士での殺戮――それは、その傍らで「特需」に沸き、繁栄を享受していた日本という国の誰もが、知ることのなかった現実である。
「なぜ、死ななければならないのか」
その根源的な問いに対し、経済的・政治的な腐臭が漂う現代の日本では、もはや考えることさえ放棄してしまっているのではないか。この映画が突きつける現実は、あまりにも重い。
朝鮮戦争を知る
むなしい
朝鮮半島の歴史!
韓国の歴史はよく知らないけれど、映画を観ることで勉強になりますね。
南北の停戦が決まっても2年近くなかなか終わらす、現地の兵士は戦い続けている。
いよいよ本当に停戦となったて、兵士はみんな喜ぶが、まだ12時間あるからエロック高地を奪還せよ!と命令される。なんとも気の毒😰
最後の戦いの時、霧の中で北朝鮮の兵士たちが歌を歌い、韓国側も同じく歌い始める。兵士達は両方とももう戦いたくはないだろう。当たり前だ。でも命令には逆らえず霧が晴れたら戦いが始まる。まさに地獄絵図。両方とも命懸けの戦いの最中、米軍の戦闘機は味方である韓国軍も居るのに構わず空爆する。酷い話だ。
同じ国民同士が敵となり、戦い続ける。まだ今も停戦状態で終戦に至っていない北朝鮮と韓国。早く終戦になればいいのに!
お勧めしたい戦争映画
何のための戦争
停戦って何だ
朝鮮戦争はまだ続行中。
しかも同じ民族、同朋で戦っている。
それを題材に韓国人が映画を何本も撮っている現実は、
リアルなアンチテーゼをヒシヒシと伝えてくれる。
このエロック高地(逆から読むとKOREA)の戦い自体
大して有名ではないが、この悲惨さこそが事実。
ただその悲惨さを伝えるだけではなく、
少しのサスペンス要素も踏まえているから、
話の推進力はぐいぐい来る。のめり込む。
基本ウンピョとスヒョクの友情がベースだが、
それ以外のキャラたちのエピソードの絡み方もいい。
ラストも「JSA」の脚本家らしく、
北も南も同朋なんだよ、なのにどうして…、という感じ。
決して後味は良くないが、戦争映画としては傑作でしょう。
また見たい。
余談。
主演の二人、香川真司と速水もこみちにしか見えなかった。
凄惨な戦闘の中で積み重なった重厚なドラマに圧倒される壮絶な戦争映画
朝鮮戦争真っ只中の1953年。停戦協議は遅々として進まず兵士達は停戦の知らせを待ちわびながらも南北の境界線で戦っていた。韓国諜報隊員のカン中尉は焦燥に駆られて上官と口論したことから激戦区として名高いエロック高地に送られ、同地で戦闘中の通称”ワニ分隊”の中に人民軍との内通者がいるらしいとの情報を元に内偵するという熾烈な任務を命じられる。カン中尉は調査を続けるうちに長い戦闘の中で両軍の間に密かに芽生えた奇妙な関係に気付くが、激しさを増していく戦闘は両軍兵士をさらに残酷な運命へといざなう。
一進一退を繰り返す戦闘で失われていく人命。死屍累々の山林で精神を蝕まれる者達の慟哭。狙撃されてから2秒後に銃声が鳴り響くことから「2秒」と呼ばれ怖れられる姿なき狙撃手との攻防。爆撃で焼き尽くされた霧の山野に響く流行歌。何もかもが圧倒的で重厚なドラマに言葉を失います。
うわぁ…
“2秒”が最高!
戦争なんて冗談じゃねぇ!
戦争の虚しさをあらためて感じます。
上級将校が、休戦ラインを、地図の上に鉛筆で無造作に引くシーンがあります。
1本の線ですが、その線を巡って、名もない兵士、それも同じ民族どおしが、殺し合っている現実があります。
敵と味方どおしで、いつの間にか、心が通じ合い、友情が生まれそうになりますが、国と国との意地の張り合いで、壮絶な白兵戦、無情な狙撃戦を繰り広げることになります。
身を切るような歴史の実感があるからこそ、韓国映画ならではのリアル感でしょう。
東京では、単館上映が惜しい映画です。
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