「妄想団地」中学生円山 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
妄想団地
何年か前の某老舗映画雑誌で矢口史靖監督を“どんな馬鹿も許される得な監督”と評していたが、この人だってそう。
宮藤官九郎。
「真夜中の弥次さん喜多さん」「少年メリケンサック」に続く監督3作目。
団地に住む中学生の円山。妄想に耽り、あるお馬鹿な目的の為に自主トレに励む。
もうとにかく、ただひたすらお馬鹿。
エロい妄想は中坊時代には当然したし、誰だって経験あるだろうけど、自分が居ない間、家族の正体はスパイや宇宙人…って、発想が中学生レベル。
ある目的とは、自分のち○ち○を舐める事…って、よくこんな企画が通ったなぁともはや感心すらする。
ひとえに、じぇじぇじぇなクドカンブランドと言った所か…?
団地に越してきた謎のシングルファーザー。絵に描いたようないい人。
時を同じくして、団地の付近で殺人事件が。
犯人はこのシングルファーザー? 正体は殺し屋? 円山の妄想はさらに広がる。
団地が舞台なだけあって、一癖も二癖もある住人ばかり。
中でも、韓流ドラマ好きの円山の母と元韓流スターの電気屋にはちょっと笑った。
あの傑作「息もできない」を作り出したヤン・イクチュンがよくやるよ。フジモンそっくりだけど(笑)
団地は妄想には最高の舞台。
ひょんな事から円山はシングルファーザーと親しくなり、妄想友達になる。
そんな時、シングルファーザーに本当に犯人の容疑が…。
中盤、シングルファーザーの悲しい過去が明るみになり、ちょっとシリアスに。急の作風チェンジも違和感感じさせない物語の運び方は、クドカンの巧みな手腕。
後半、妄想が妄想を超えた時、真実になる…の如く、再びクドカンらしいハチャメチャな展開へ。
ストーリーの破綻、何故こうなった?…など愚問。
これが、クドカンの妄想ワールドなのだから。
草なぎ剛はこの役に合ってるのか否かよく分からない(笑)
円山役の平岡拓真少年は見事な脱ぎっぷり。学校でからかわれないように(笑)
一応、円山少年の成長も描かれているが、エッチでお馬鹿で好き嫌い分かれそうなクドカンワールド。
真面目に見たら損しそうな映画。(褒め言葉)
この作品の為だけに、レビューの印象に“お馬鹿”を新設して欲しい!