月世界旅行のレビュー・感想・評価
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100年以上前の作品だが、今でも色褪せない魅力がある
『メリエスの素晴らしき映画魔術』の前半の彩色版で鑑賞しました。
私は1991年生まれですが、多分私と同年代またはちょっと歳上くらいの人は、『ポンキッキーズ』で本作の映像を観たことある方もいらっしゃると思います。和田アキ子さん歌唱の「さあ冒険だ」のPV映像になっていますね。
当然ながらフィルムの劣化などもあり今の撮影技術とは比べ物にならないほど映像が不鮮明ですし、セットもかなり安っぽいというかちゃちなクオリティーです。しかし、だからこそ、本作は映画黎明期を映した資料としても、そして映画の発展に大きく貢献した映画としても、歴史に名を残すべき素晴らしい作品だと思います。
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フランスの映画監督ジョルジュ・メリエスによるサイレント映画。世界初のSF映画として知られ、当時としては長い初めて場面転換や特殊効果を用いた作品として知られる。6人の天文学者が巨大な大砲の砲弾に乗り月へと降り立つが、月の住民に囚われ、月からの脱出をする。
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公開当時はアポロ11号が月面着陸を達成する70年近くも前ですから、月に対する当時のイメージが感じ取れて面白いですね。ごつごつとした月面の描写もそうですし、「月から地球に”落ちる”」描写が興味深いです。地球の引力が月にも及んでいると当時は考えられてたんでしょうかね。ニュートンの万有引力の発見は1665年ですので、引力に関する知見は当時からあったんでしょうけど、地球の引力がどこまで影響を及ぼしているのかについては分かってなかったんでしょうか。それとも分かった上での演出なんでしょうか。興味は尽きません。
当時は当然カラーフィルムなどなくて白黒でしたが、フィルムに直接色を塗って作成された「彩色版」も存在しており、1993年にフィルムが発見されて2011年に修復が完了しました。登場人物たちの衣装が目に鮮やかなカラフルな色で彩色されており、これがメリエスの描くファンタジックな世界観に非常にマッチしていて素晴らしいですね。
ただ、如何せん120年も前の映画ですので今の映画と比べてしまえばあらゆる面で劣る作品ではあります。仕方のないことですが。
しかしそれを込みにしても、十分面白い作品であったと思います。試しに一度ご覧になってはいかがでしょうか。
夢のある月への旅行作
世界初のSF映画
月(人面)に突き刺さるロケット
幻想的な月の世界描写
月の住人との戦闘(叩くと煙になって消える)
王様を倒したことから追われるも何とか地球の海へ落ち帰還、祝福される
非常に映画らしい、夢の詰まった作品
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