クラウド アトラスのレビュー・感想・評価
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世界映画まつり!
あのウォシャスキー兄妹と俊英トム•テイクヴァがタッグを組んだ新作!と聞き、前々から楽しみにしていました。ところが、某大手新聞には冷ややかな評論が並び…。ひやひやしながら(地元シネコンではスルーされていたので)隣町まで遠征して観に行きました。…が!
「なんだ、おもしろいじゃないか!」
というのが率直な感想です。小さくガッツポーズ! 人とひとの出会いが繰り返され、折り重なり、うねりとなっていく…という普遍的なテーマを、多様な切り口でみせる三時間。傑作、名作という類ではないかもしれませんが、めくるめく楽しさが味わえました。(とはいえ、エピソード6つは少々盛り過ぎ。4つくらいでも成立するような気はしました。)
なんと言っても、一人4〜6役という俳優たちの化けっぷりが見どころです。トム•ハンクスやヒュー•グラントなどオヤジたちは悪ノリが過ぎて「やっぱりトム、やっぱりヒューさま…」という感がありましたが、若手の繊細な演じ分けは光ります。特に、ペ•ドゥナとベン•ウィショーが印象的でした。
かつて「マトリックス」を観たとき、帰り道で大興奮しながらネオのまねをして飛び跳ねている男の子たちを見かけ、幸せな気分になりました。この作品も、「なんだ、コレ!?」「こんなのが世の中にあるのか!」「映画ってスゴイ!」と若者を驚かせ、引きつけ、いつしか新たな作家、作品に繋がっていくのでは…と思います。それこそ、この作品の真骨頂ではないでしょうか。
今後に、期待!
(余談ですが…俳優たちが性別を越えて演じるのは、ラナ•ウォシャウスキー監督自身の投影?なんてちらりと思いました。「オルランド」でのティルダ•スウィントンという前例もありますが、少し毛色が違うかな…と。)
なんというか、
緻密かつ複雑なのに納得してしまう
172分という長さなので、なかなか手をつけずにいたが、ちょっと見だしたら止まらない。
オムニバス形式だと思っていたら、いくつもの物語が、同時並行で進んでいく。しかも、1849年から2321年まで6つの時代のエピソードが、時空を超えてつながっていく。時代物、サスペンス、コメディ、SFのバラエティに富んでいて、一つひとつの物語がそれぞれ面白い。
登場人物の関連は、緻密かつ複雑で半分くらいしか理解できないが、トム・ハンクスとヒューゴ・ウィーヴィングはしっかりと識別できるので、1回目でもそう困らない。
輪廻転生に対しては否定的な考えを持っているが、そうであっても、もう一度見直したくなる傑作でございました。
時代の異なる6つのエピソードが描かれる。 行ったり来たりでかなりこ...
音楽がいい。輪廻転生はあるのか。
配信で視聴しました。
凄くインパクトがあるわけではないけれど、
何故か何度も見返したくなる不思議な作品です。
輪廻転生をテーマにしていて6つの異なる時代のストーリーがあり、登場人物の前世での行いが来世に影響を与えています。
1人何役もこなしていて、主役だった人が次の
時代では脇役だったり。初見では分からなかったです。
トム・ハンクス演じる役は1849年では弱肉強食でいう強者という立場。だけど、2321年では弱者になる。これも因果応報というものだろうか。
特に印象的だったのが1931年と2144年。
1931年のロバート・フロビシャーがスコット記念塔で語るシーンがあるのですが、景色とピアノのフレーズが凄くいい。
あらゆる垣根は幻想だ。乗り越えようと真っ先に意識する者には必ず乗り越えられる。より良い世界が僕らを待っている。
2144年のソンミ451の語りもいい。
命は自分のものでは無い。子宮から墓場まで、人は他者と繋がる。過去も現在も、全ての罪が
あらゆる善意が未来を作る。
死んだら生まれ変わるのだろうか。
今の人生は、前世からの生まれ変わりなのだろうか。
鑑賞後、暫く頭の中に余韻が残りました。
あまり評価はされていませんが、会えて良かったと思える作品でした。
一人最低3役
俳優たちが七変化
時系列が錯綜するのはいかがなものか
意欲作です。
成功とは言えないでしょうが、単純にそれぞれの時代を年代順にザーッとつなげたところで、本来伝えたいことの3分の1も達成できなかったのではないかと思います。
その中で、おじいちゃん達の脱走の話は、なくてもいいかなと思いました。
輪廻転生を意識したキャスティングで、不自然なメイクでアジア系の男の人がみんな同じ顔に見えたり、黒人がユダヤ人を演じたり、アジアンが白人を演じたりと、ぱっと見にはわからないくらいですが、とにかく出演している俳優たちがみな真剣に役に取り組んで、それぞれの時代を生き生きと演じています。
きっと、何度も繰り返して鑑賞すればこの世界にどっぷりとハマれるのでしょう。
毛色は違いますが、「メメント」などが系譜的に近い作品と言えるでしょう。
2014.6.22
世の中、こんな感じかな
受け継がれ繰り返される壮大さ
公開時からの二度目の鑑賞。
とても複雑な構成で、明確な一つの結末や解決が提示されているわけでもない本作。
加えて3時間と長いのだから、かなり好き嫌いは分かれると思える。
が、自身には物語もキャスティングもドストライクであった。
作曲家、航海、70年代、老人ホーム、ネオソウル、荒廃未来と、
多彩なジャンルに時代が織り交ざり、とんでもない数の登場人物が出てくる。
しかしどの時代でも、どの世界でも、
過酷な運命の元、登場人物らが困難を打ち砕き、迷いながらも懸命に生きる姿には引き込まれた。
まるで業を背負ったようにあちらで死に、こちらで結ばれ。
関係さえ見えてきたなら立場を変えて繰り返される苦難と決断の波状攻撃に、切なさもひとしお。
積み重なるほどに全体を貫き浮かび上がってくるテーマの、
個人間にあるものではない、人類に連綿と受け継がれてゆく愛の壮大さよ。
描き方でこうも変わるものかと思わされる。
かつ、どのジャンルに時代も甲乙つけがたいほど完成度が高く、
演出もかぶることなく個性に満ちており、
まるでひと粒で何度も美味しいを地で行く贅沢さだった。
個人的にはネオソウルの筋と、作曲家の筋が秀逸と観る。
そこはトランスジェンダーであり、マトリックスの生みの親だからかと思わずにはおれない。
何なんだ、この映画は...
必見のすごさ。
生きているうちに、こんなものが観られるとは。
啞然。
凄すぎる。
2013年公開。8年前すでにあったのですね。
よくぞまあ、映画にできると思ったなぁ。
原作があったとはいえ、感嘆しかありません。
なんと監督は『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟。と思ったら。
ウォシャウスキー「姉妹」になられたのですね。
またもや、びっくり。
魂は何度も生まれ変わる、ご自身たちの中にもそれがすんなり腑に落ちる感覚をお持ちだったのでは。
壁は、本当は無いのでしょうね。
性別だけでなく、階層、人種、能力、年齢...etc。
生と死すらも。ただの扉。人間とロボットも。
壁ではない。
壁は自分が作っているだけで。
開かずの扉にするのは、自分自身。
開かないから、壁と思う。
開けないのは、自己防衛。自己保身のせい。
自分を守っている。
相手への嫌悪。
同種以外は汚らわしき感じるという排他性。
自分の中の残虐性に気付き、それは恐れや思い込みから生まれていると知ったら。
警戒心は必要だけれど、不信感に変換する必要はない。
慎重な好奇心。
異質なもの、自分とは違うものに、好意的興味を持つこと。信頼には、そんな優しさと勇気が要る。
ためらいながら、行きつ戻りつ。
それは同じ眷属たちからは、仲間を不安におとしいれる危険人物として、迫害や抹殺という重い責苦まで負わされる。
でもね。
信頼に目覚めた人たちが人類を支える。
神話のアトラスが、地球を担いでくれているように。
目覚めるまで魂は何度も肉体に宿り、生きては死に、経験を重ねていく。
それって愛せるようになるため、だったのかも。
でなきゃ、潰し合いばっかで人類は滅びますものね。
アトラスは一人の巨人でもあり、
巨大なクラウドです。
つまりは宇宙。地球を支えるもの。
原子のように、千切れては色々合わさって、一つ一つの命になり、やがて使い切ればまたバラバラになって、宇宙へ還る。そしてまた再生される。
それは人間もロボットも同様です。
ということは、人にもモノにも、魂は宿りうる。
輪廻転生は、究極の科学的真理かもしれない。
そんなことを思えた作品でした。
輪廻転生
ざっくり切られたザックリー・・・あぁ、ソンミ様
「命は自分のものじゃない」というペ・ドゥナ演ずるソンミ451が忘れられない近未来のパート。このエピソードが最も優れているし、ウォシャウスキーならではの革命の意義を教えてくれた。ざっくり6つのパートとは、
1849年太平洋諸島。奴隷貿易に関わる弁護士ユーイングの物語で、帰国の航海につく際、密航していた脱走奴隷オトゥアと出会う。悪徳医師グースに毒を盛られ、瀕死の状態になるのだが・・・といった展開。
1936年ケンブリッジ。ゲイのロバートは差別から逃れ、大作曲家のビビアンの元で作曲の手ほどきを受ける。やがてユーイングの物語からインスピレーションを受け、作曲を手がけるがビビアンが自分の曲を奪おうとしたため・・・という悲劇。
1973年サンフランシスコ。原子力発電所計画に従事していたシックススミスは原発の欠陥を告発するためルイサ・レイに報告書を託すが・・・
2012年ロンドン。「顔面パンチ」という小説を発表したダーモットが酷評評論家を突き落とす。そのため本が売れ、出版元のカベンディッシュは大もうけするが、ダーモットの兄弟たちに6万ポンドを強請られることに。老人施設に入れられ仲間と脱走を企てる。
2144年ネオソウル。給仕クローンとして働いていたソンミ451が純血種の映画「カベンディッシュの災難」を観て自分の存在に疑問を持つ。革命組織のヘジュに救出され、クローンの実態を告発する手助けをする。
崩壊後106度目の冬。ある島では女神ソンミを崇めていたが、食人族の襲撃に怯えていた。昔の技術を持つメロニムが現れ、姪キャットキンを助けた礼として悪魔の山へガイドすることになった。
とにかく豪華な俳優陣と、男女関係なく1人何役もこなしている。ヒュー・グラントやヒューゴ・ビューイングが常にイヤな奴だというのも面白いし、それぞれの時代の中心人物が何かしらで他の時代にリンクしている。リンク内容も書物、音楽、恋愛、思想、宗教と多岐に渡り、奴隷問題を通した階級制度、LGBT問題、原発、監禁、クローン、自然環境など様々な問題を提起する。その編集テクニックも似たようなシーンを繋げたりして緊迫感を増しています。
6つの章立てにすることなく、細切れでパラレルワールドみたいな扱いだったのもいいし、ハル・ベリー以外は誰がどの俳優なのかわからなくなっているのもいい。特殊メイクすごすぎ!
確かに難解でも…
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