劇場公開日 2013年3月15日

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「時を超え、生まれ変わり、再び巡り会う」クラウド アトラス 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0時を超え、生まれ変わり、再び巡り会う

2013年7月10日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

幸せ

「マトリックス」のウォシャウスキー姉弟と「パフューム」のトム・ティクヴァ共同監督。
輪廻転生をテーマに、6つの時代、それぞれに生きる人々のドラマが複雑に交錯。
SF、歴史劇、サスペンス、アクション、コメディ、ラブストーリー…一ジャンルに括る事の出来ない壮大なスペクタクル!

6つの時代を簡単にまとめると…

・19世紀、青年弁護士の航海記
・1930年代、同性愛の青年作曲家の苦悩
・1970年代、企業悪と戦う女性記者の話
・現代、老編集者の施設脱出劇
・近未来、クローン少女の自立
・文明崩壊後、人類救済の旅

…と、なる。

それぞれ年代順に語られるのではなく、バラバラに交錯しながら展開。
だからと言って、こんがらがって分からなくなったりはしない。
各年代、特色もあり、役者のメイクや演じ分けできちんと分かるようになっている。

ある時代でサスペンス的展開になると、別時代でもサスペンス的展開が同時に始まり、物語を盛り上げる。
また、19世紀の航海記と30年代の作曲が後の時代に継がれ、70年代と現代の話が後の時代で本や映画になり、近未来のクローン少女が文明崩壊後の世界で伝説として崇められている…など、各時代リンクし合っている。
その見事な構成力には舌を巻く。

トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒュー・グラント、スーザン・サランドン、ヒューゴ・ウィーヴィング、ベン・ウィショー、ジム・スタージェス、そしてペ・ドゥナ…。
一人数役。しかも、年齢も人種も性別も違う。
演じる側は大変だったろうが、役者冥利に尽きるというもの。

輪廻転生。生まれ変わり。
肉体は死滅しても、魂は不滅で、姿形を変え繰り返す。
その中で意志や想いは何度も巡り会う。
過ちや汚れで始まった魂は、時を超え、遂には救済へ…。
嘘か真か分からないが、何と不思議な因果。

映画は賛否両論真っ二つだが、僕は“賛”。
前例の無い壮大なプロジェクトに挑んだスタッフ・キャストの心意気、映画を数本分見たような充実感、希望と余韻を感じさせるこの映画を讃えたい。

近大