「「私はそこに居てそれを見た」の重さ」ぬちがふぅ 玉砕場からの証言 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
「私はそこに居てそれを見た」の重さ
アジア太平洋戦争末期の沖縄で何があったのか、沖縄の人は何を経験したのか、日本軍は何をしたのかを追ったドキュメンタリーです。朴壽南(パク・スナム)監督の『アリランのうた』(1991)の続編とも言えます。
どの戦闘でいつ何人の人が死んだと言った統計的な数字は確かに大切なのですが、「私はそこに居た」「私が観た」「私が経験した」という一人一人の直接的な証言が如何に大切かがよく分かります。「戦争は沢山だ」の思いはそこから発するだろうと思うからです。
前作は、沖縄に連行された朝鮮の人々に焦点を当てた記録でしたが、本作では沖縄の人々(うちなんちゅぅ)の境遇にも注目しています。その結果、朝鮮のみならず沖縄も日本(やまとんちゅぅ)の植民地だったのだという事が浮き彫りにされるのでした。監督の手許には、取材時の証言記録がまだ数十時間分あるのだそうです。フィルム・テープが劣化する前にそれらのデジタル化が急務で、本来は国がそれを押し進めるべきなのですが、悲しいかな現政権は歴史を忘れ改竄しようとすらしている様に見えます。
上映後には朴壽南監督によるいつもながらの無頼なお話を期待していたのですが、この日は体調不良でお休みで娘さんの朴麻衣さんのみの登壇となりました。でもそのお陰で(?)、強烈な個性で面倒であろう壽南監督との作業に取り組みながらも、麻衣さんがお母さんを如何に敬愛しておられるかがしっかり伝わりました。
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