「これこそ本当のフィルムコンサート」山下達郎 シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0これこそ本当のフィルムコンサート

2019年5月29日
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鑑賞方法:映画館

シティポップと言われ出したのはいつ頃からのことでしょうか
何やら海外でも人気と聞ます
大昔、フィルムコンサートというものがありました
大きなレコード店の横の小さなスペースで文字通りフィルムで人気アーティストのプロモ映像を流すものです
MTV以前のことですからもちろん劇仕立てなようなものはなく、コンサートでの演奏を短く編集しただけのものです
本作はそれに近いのかもしれません
80年代から2010年代の達郎さんのライブを曲単位に繋ぎ合わせて、あたかも本当のライブであるかの様にコンサートとして成立させてあります
ですから観客の私達は映画で有りながらライブを見ているかのような感覚を得ることができます
曲単位での切り貼りですから、時系列も場所もバラバラですが、大まかには80年代から順を追って行く形で編集されています
曲ごとの冒頭にスクリーンの左下に小さく収録年月日と場所のテロップがでます
その頃、自分は何処に住んでいて何をしていたか
どんな仕事に関わっていたのか、恋愛中だったのか、結婚していたのか、子供が出来ていたのか
色々な思い出が頭の中を駆け巡ります
もしかしたらまだ生まれていなかったり、小さいころであった人もあるでしょう
多くの人の人生の中に達郎さんの曲はそれぞれの思い出に固く結び付いているのです
映画の終盤はライブのフィナーレのメンバー紹介、アンコールと続き、ラストシーンはライブ会場から私達観客がはけていく光景がステージ側から映るのです
本作は達郎さんのライブ映画でありながら、実は私達が達郎さんの音楽とともに歩んだ人生を写していたのかも知れません

最後に音響が見事です
映画の音ではありません
ライブ会場の音そのものの音が鳴っています
ここにも達郎さんのこだわりを感じることができます
彼こそ日本のロック界で最初に文化勲章が与えられる栄誉に浴する資格があるのではないでしょうか

あき240
cookさんのコメント
2019年6月2日

I think so too 🎶

cook