劇場公開日 2012年12月21日

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「まさに至福の時!」レ・ミゼラブル(2012) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5まさに至福の時!

2012年12月19日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

興奮

これまで何度も映像化されてきたヴィクトル・ユゴーの古典だが、今回は舞台でロングラン上演されたミュージカル版の初映画化。
ストーリーについては今さらあれこれ語る必要も無いが、罪と償い、慈悲と愛に深く思い馳せられる。
ミュージカルになった事により登場人物たちの秘めたる思いや悲痛な心の叫びが歌声となって昇華し、胸に響き心揺さぶられる。
「エビータ」同様登場人物が終始歌い続けるので、ミュージカル嫌いな方が最も苦手な作風だろう。
でも、僕はこういうミュージカルが大好き。これがミュージカルであり、これが面白さなのだから。

演出、映像、美術、衣装、編集…どれを取っても一級で、風格すら漂う。
心休まぬ運命を辿るジャン・バルジャン役のヒュー・ジャックマンの存在感、バルジャンを執拗に追うジャベール警部役のラッセル・クロウの憎々しさ(憎々しいが彼には彼の正義があり決して悪役ではない)、コゼット役のアマンダ・セイフライドの可憐さとマリウス役のエディ・レッドメインの誠実さ…俳優たちの見事なアンサンブル演技。
中でも、今や死語となった“薄幸のヒロイン”ファンテーヌ役のアン・ハサウェイの痛々しいまでの姿には引き込まれる。
シリアスな中で、ヘレナ・ボナム=カーターとサシャ・バロン・コーエンは唯一笑わせる。役柄はえげつないが。

数々の素晴らしい楽曲とドラマチックな物語に酔いしれ、映画とミュージカルの醍醐味をたっぷり堪能し、至福の一時を味わった。

近大